冒険しようぜ(千葉館山編2)



  ビジネスホテルの探し方はいくつかある。

 一番確実なのは旅行代理店で紹介してもらうことだ。だが、引っ込み思案気味の私は、公衆電話に備え付けの電話帳で「ビジネスホテル」のページを開き、探す。

 だいたい5,000円くらいであれば、どこでもいい。携帯電話で、電話する。

 「予約はしていないんですが、本日、部屋は空いてますか?ええ、シングルで」

 もはや決まり文句である。私はこういう、心のこもっていない丁寧言葉が得意だ。仕事モードである。空いてたら、料金はいくらかを聞き、ちょっと高いなと思ったら、またあとで電話しますと言って電話を切る。よければ、「ではお願いします」と伝える。

 ほとんどの場合、「お車で来られますか?」と聞かれる。車ならば、駐車場の場所を教えてくれるわけだ。私は「いいえ」とだけ答える。もし自転車をとめる場所がなくたって、私の自転車は折りたたみ式。折りたたんで部屋に持ち込めばいいのである。

 今回も、そんな感じで、ホテルを確定した。

 チェックインして入ってみると、部屋はよくある作りの洋室だ。私は荷物を置いて、ベッドに横になる。

 あまり長く横になると寝てしまうので、起きてメシを買いに行く。近所をうろつき、駅前のスーパーで買い物だ。閉店間際のタイムサービス品を狙い、色々買い込む。

 腹が減っているときに食い物を買うと、必要以上に買ってしまうという法則に乗っ取り、食いきれないだろうというぐらいの量を持って宿に戻る。

 ビジネスホテルの一室で、特にこれといって特徴のない食べ物をもそもそと食べる。そんなことをするぐらいな自宅でゆっくりしてりゃいいじゃないかという気もするが、これは、一人で色々考えるための儀式なのである。いや、考えたって、別に名案が浮かんで何かが画期的に変わるわけじゃない。

 普段とちょっと違うことをするってことが、大事なのだ。

 メシを食い終わり、シャワーを浴びて、ベッドに横になる。目の前がだんだん暗くなってきて、私は眠る。夜中、寒くなってあわてて布団にもぐり、朝まで寝る。

 目を覚まして、チェックアウト。これからどうするかと言えば、電車に乗って家に帰るわけだ。ほどよく、「家に帰りたい」という気分になっている。

 キャバクラ戦隊キャバレンジャーの看板が目に飛び込んでくる。

 キャバレンジャーは何人戦隊なのだろう。指名ボンバーとか同伴クラッシュとか色々技があるんだろうか。



 駅前のガストで朝飯を食い、私は電車に乗って帰った。


 どうも今回は、日常から抜け出せなかったような気がする。そもそも、館山に行ってから、これを書くまでえらい時間がかかってしまって、なにやらテンションが低い。まあ、たまにはそんなこともあるさと自分をだましつつ、今回の冒険を終わる。

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