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            | 前回から3ヶ月経った今、私の中のオーストラリアもそろそろ色あせて来たのだが、忘れたのでやめます、ではあんまりなので続けることにしよう。 
 前回は…、そう、ビビりながら英語で出前を取ったところ、「まだやってないよ12時からだよ」と言われたところであった。
 
 旅の疲れから、うたた寝したり、喫煙したり、うたた寝したり、うたた寝したりしていた。
 そして12時。誰ともなく、腹が減ったという意見が出て、私の挑戦タイムが再びやってきた。
 
 行くぜ!
 気合とともに電話をかける。
 ぽ〜。ぽ〜。ぽ〜。とアメリカンな呼び出し音。そして。
 
 「kabukiだ!出前は可能か?」
 「そちらのホテルの場所はどこですか?」
 「xxホテルxxx号室だ」
 「オーケー、大丈夫だよ」
 「#)(#$’()”!?」
 「もう一度言ってくれ」
 「今、メニューのどのページを見ている?」
 「えーと、肉料理のページだ!」
 「#”’($”&($”#」
 「すまない!」
 「・・・他に英語しゃべれる人いないの?」
 「いない。私が唯一英語をしゃべる人だ!」
 「オーケー、オーダーは?」
 「xxパスタとxxサラダ、フライドチキン・・・」
 「オーケー、10分後に届けるよ」
 
 ふっ…。私の顔は、何かを成し遂げた男の顔になっていたことだろう。
 そう、私は「英語で出前を取る」というミッションをクリアしたのだ。
 経験値が入ってレベルアップしているに違いない。
 
 レベルアップの余韻に浸っていると、部屋の呼び出しブザーが鳴った。
 インターホンを取ると、ホテル玄関の映像が現れた。男が写っている。
 なんてハイテクなんだ!
 
 「ハイ」
 思わず日本語で返事をしてしまった。さっき注文した出前が届いたらしい。
 インターホンのところにはボタンがいくつかついており、これを押すと玄関の扉が開くらしい。
 
 私が手間取っていると、男はシャドーボクシングを始めていた。
 さすが外人だ。
 その様子を見ていた私と妹はその光景をしばらく楽しんでいた。
 
 そしてやっと扉が開くと、男はシャドーボクサーから流れるように配達人に戻り、入ってきたようだ。
 
 色々ありながらありついた昼食は感激もひとしおであった。
 気が遠くなるほどの肉と、クサイとさえ思える本場のチーズにまみれたパスタ。
 あと、なんだかよくわからない料理。
 
 これらの料理は1/3も消費されることなく、晩飯に引き継がれたのだった。
 
 
  
 
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