怖い夢


子供の頃の怖い夢というと、妖怪やお化けなどに追い掛け回される類のものが多かったが、
さすがに最近はちょっと変わってきた。
平日に目がさめたら、昼過ぎで、会社に大遅刻だ!
とか、
会社に行ったらズボンをはき忘れててパンツ一丁!
とか、主に会社に関連した怖い夢である。一日の大半を会社で過ごしているからだろうが、
なんとなく現実味があるので、余計怖かったりする。

ところで、私の場合、妖怪やお化けやゾンビが出てくるようなわかりやすい夢の場合は、
「あ、これは夢だ。」ということで、自分の意思で目を覚ますことが出来る。
時々、目がさめたと思ったらそれも夢だったということもあるが、少なくともそーゆー怖い夢からは
自らの意思で抜け出すことが出来るのだ。

ある日、得体の知れないやつに襲われている夢をみた。人間の形をしていたので、怪人といったところか。
このときは、やはり夢だとだいたいわかっていたので、例の「夢抜け」をやってみた。
一度目を閉じて、勢いよく目を開くイメージだ。いつもなら、そこで目がさめるか、
日常生活の夢に切り替わるのだが、このときは違っていた。
場面は、見渡す限りの砂漠に人の大きさくらいの岩がごつごつ突き出ている殺風景なものに変わった。
そして、先ほどの怪人と、黒マントに黒マスクの男が岩陰から出てきて言った。

「無駄だ。その技は封じた
「仲間になるなら見逃してやろう」

相手は私の「夢抜け」を利用して世界征服をたくらんでいるようだ。
今考えると、そんなもんでどうやって世界征服するんじゃい、と思うが当時は私も相手(実はこれも私が夢の中で操っているのだろうが)も真剣だったようだ。
悪の組織からスカウトされるのは、正義の味方の常だ。そして断るのも常だ。別に正義の味方じゃないけど。
断った。そして逃げた。追い掛け回された。
しばらくして。本当にしばらくなのか、数時間後なのかわからないが、黒マントが
「今日のところは返してやろう。こんな時間だしな・・」
といったところで開放された。無事目を覚ました私は、布団の上で
「恐ろしいやつだった・・」
と考えていた。時計を見た。AM10時。
遅刻じゃああああ! 
急いでシャワーを浴びていると、今日は土曜日、すなわち会社は休みだということを思い出した。
道理で目覚ましもならなかったはずだ、セットしてなかったんだもんな。よかったよかった。

この他にも印象的なものとして
「妹が急にゾンビになって背中をかまれた夢」
「ピストルで撃たれたのに全然痛くなかった。が、相手に悪いので痛いフリをした夢」
「飼っている猫が急にしゃべりだして、カラオケ行こうぜ、と誘われた夢」
など、色々あるのだが、人の夢の話を聞いてもきっとつまらないと思うので、夢の内容に関する話は今回限りとする。
私も「寝ようと思ったら、布団にライオンが寝てて、それを見つけた猫が荷物をまとめて家出して、出前でカツ丼を注文したら10万円取られた」
とかいう訳のわからん話を聞かされたら・・多分困るだけだろう。
いや、やっぱり人の変な夢話もちょっとは聞いてみたいような。
なお、上の話は1割ほど脚色されているが、大体の大筋と最後のオチは本当の話である。



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