ととっこ団通信
ととっこのけだま
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ととっこのけだま
 ぐこっ、ぐこっ、ぐこっ。

 奇妙な音を口から発しながら、ととっこの背中が波打つ。これは、ととっこが吐く合図である。

 私は、普段から溜めているコンビニ袋をととっこの前に広げる。

 くぁっ!くあぁーっ!と少し苦しそうな声を上げて、ととっこが毛玉を吐く。

 毛玉を吐くという表現には、単なる毛の固まりをぽろりと吐くようなイメージがあるが、違う。ゲロそのものである。ほかほかである。うっかりにおいを吸い込むと、私も一緒におえーっとなってしまう。

 ととっこの毛玉は丁重に袋に包まれ、捨てられる。

 ときどき、ちょっと大き目の毛玉が筒状で出てきたりしてびっくりする。溜めすぎである。毛玉というか、毛筒、毛棒という感じ。確かに、部屋にちらばっている毛の量を考えれば飲み込んでしまう量も半端ではないのだろう。ととっこの宿命なのである。

 たまに、私が気づかないうちに毛玉を吐いていることもある。そんな毛玉は、乾ききって、毛玉らしくなって床にこびりついている。床から毛が生えてるのかと思うくらいだ。水で濡らしたりなんかして掃除する。

 もう一度言っておこう。毛玉という表現には、ふわふわふさふさした、妖精の一種のような響がある。だが、その実態はゲロそのものなのである。汚物なのである。

 毛玉を吐き終えたととっこは、そんな汚物から遠ざかって、撤去されるのを待っているのだった。


▲撤去されるのを待つととっこ団長

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