迷惑なカップル
その日、私はいつものように朝の満員電車に揺られていた。
冬の満員電車は、コート等を着用している上に、場合によっては余計なことに車内暖房まで
かけやが…かかっていることがあるので、非常に暑いのだ。
暑いと人間いらいらする。
いらいらしながら、目的に到着するまでじっと耐えるのだ。
電車内は静かだった。おそらく皆の思いは私と同じく「早く着けー早く着けー」だったのだろう。
突如、甲高い声の女性が私の後方で独り言を言いはじめた。
声的には30半ばくらいといったところか。
私は、電車に良く居るそーゆータイプのやつだと思い無視していたが、
聞いていると独り言ではなく、男性の相方が居るらしい。
男性の声がぼそぼそと小さかったため、聞こえなかったのだ。
電車は大きい駅に止まり、人が入ってくる。
例のコンビが人に押されて、私のすぐ背後まできた。
その後聞こえてきた会話はこんな感じだ。
女「にゃんでこんにゃに混むのきゃしりゃねー」(なんでこんなに混むのかしらねー)
男「通勤時間だから仕方ないよ」
…電車ややゆれる…
女「ちょっ! そんにゃとこしゃわりゃにゃいでよ。いくりゃ夫婦でもでゃめ!」
(そんなとこ触らないでよ。いくら夫婦でもだめ!)
男「ごめんごめん」
…しばし間があく…
女「きょうにょあしゃごはんのおきゃず、めでゃまやきだけだったね」
(今日の朝ご飯のおかず、目玉焼きだったね。)
男「そうだね。でも今の僕の前にも目玉焼きがあるよ」
女「えっ。どきょ?」
(えっ、どこ?)
男「き・み・の目玉・焼き。食べちゃうぞー」
女「ひゃー」
周りの人たちは大きめの石をぶつけたくなったに違いない。
私は心の中で巨大隕石群を彼女らめがけて落下させていた。
彼女らの会話によって狂暴化したのか、次の駅ではおっさんが
「押すんじゃねー!バカヤロー!」
と叫びながら降りていった。
ちなみに、私もこの駅で降りたのでその後のことはわからないが、
その後も車両内で会話をつづけたのだろうか。
最後に一言だけ言いたい。
よそでやれ。
|