板ばさみ

今まで何度かここにも書いたが、私のオフィスの自席には正面にフェロモン社員Hがいる。
そして、隣にはKさんという40歳ちょいの先輩社員が座っている。

Kさんは「メガネをかけた困ったカニ」のような顔をしている。
Kさんの風貌については、こんな逸話がある。

ある日、同じ部のUさんはKさんと一緒に客先に行く予定だったが、
Kさんから前の会議が長引いて少し遅れる、という連絡を受けていた。
そこで客先の受付嬢に、
「10分後くらいに私と同じ会社のKという人が来ますから、6Fに来るよう伝えてください。
 いつも困った顔をしている人ですから」
と言ったことがあったという。
受付嬢は、とりあえず愛想笑いを返し、
「承知いたしました」
と答えたとき、予定より早く到着したKさんが歩いてきた。
受付嬢は心から納得したようにぽん、と手を叩いた。

その話以来、私の中でのコードネームは「困り顔のKさん」に確定した。

そんなKさんは、よくフェロモン社員H(以下H)とあれこれ話をしている。
いつもはじゃれ合いのような軽い議論みたいなものだが、どちらかの機嫌が悪いとバランスがくずれて
険悪な雰囲気となる。
H 「Kさん、そーゆーこと言うのはセクハラですよー。 ねえkabukiさん!」
私「えっ? あ、ああ。」

K「Hさん、大先輩に対してそれはないだろう。なあ、kabukiくん!」
私「えっ? は、はあ。」

仕事中の私は、そーゆー話に対してロクな受け答えをしないため、
二人とも気まずくなる前に私に振って、話をシメるのだ。

だが、どちらかが外出や出張で欠けていても困ったことになる。
Kさんが居ないときは、
H「kabukiさん、Kさんひどいんですよー。こないだ…。ひどいと思いません。」
私「ああ、そうだね。」
H「今度kabukiさんから言って下さいよ!私が言っても聞かないんです!」
私「う、うん。そうだね。」

Hが居ないときは、
K「kabukiくん!今日は平和だなー!」
私「え、なんでですか?」
K「ほら、うるさい人が居ないと。」
私「ああ、Hさんですか? 居ないと物足りないんじゃないですか?」
K「全然そんなことないよ!kabuki君も彼女の事うるさいと思ってるだろ?」
私「ええ、まあ、ちょっとは。」
K「そうだろうそうだろう!」

さらにKさんの場合はタチが悪く、次の日、Hから
H「kabukiさん!私のことうるさいって言ってたんですって!? すみませんねえ、うるさくて」
と責められるのだ。情報漏洩元は一人しか居ない。

私は衝撃吸収材なのだろうか。
じっと耐えて吸収するしかないのか?
…まあいい。それで、皆が調和できるなら。
だが、ほんとは一言だけ言わせてもらいたい。

俺の仕事を邪魔するな



割とどうでもいい日記メニューへ

全力HPホームへ