奥多摩で焼肉

しばらく前に涙の別れ(嘘)をして京都に帰ったMえだ氏が、仕事で1ヶ月ほど東京にいるらしいので
電話をかけた。

驚くべき事に彼はPHSを持っていた。
以前はあれほど「携帯電話きらい。きらい」と言っていたのに。
おそらく世の中に携帯電話が一般化したため、違和感がなくなったのであろう。
買った当日は、公衆電話から自分のPHSに電話をかけて喜んでいたに違いない。

とりあえず、土曜日にどっか遊びに行くことにした。
彼からは「新宿でビリヤード」という意見が出たが、
もはや、そんなフツーの遊びでは物足りない私がこれを却下。
「どっか景色のいいところで昼からビール飲もう」という提案をした。
彼は「男二人でそんなことしても…」と難色を示したが、
「楽しかったらどうでもええやん」の一言で賛同。
場所は明朝までに私が探すことになった。

インターネットを活用し、探す探す。
結局、「東京の秘境 奥多摩」に行くことにした。
奥多摩は、「奥」とついているだけあって、東京都内とは思えないくらい大自然に囲まれており、
熊やライオンが市街を練り歩いている。(奥多摩に住んでいる人、ごめんなさい)

そこで焼肉を食う計画だ。これはチーズフォンデュだったり、おでんだったりしてはいけない。
大自然の中ではシンプルに「焼く、そして食う」が一番なのである。
が、チーズフォンデュというのも異様な光景で、おもしろそうなのでやってみたい気もする。

土曜日、2.5時間をかけて電車で奥多摩へ。途中で「肉」と「パック入りのごはん」と「ビール」を買った。
ここでショッキングな光景が私の目に飛び込んできた。
奥多摩にビールが売っている!秘境なのに!(奥多摩の人、ごめんなさい)
途中で買うんじゃなかった…。
夏並の日差しが完全にビールから冷たさを奪っていた。
奥多摩駅で降り、河原のキャンプ場に着いたときには「あたたかいビール」ができあがっていた。

キャンプ場の入り口で炭を買い、鍋を借りた。
それなりに人が居て、涼しそうな場所は既にキープされている。
私たちは「あと1時間ほどで日陰になりそうな場所」にカマドを作ることにした。
また、あたたかいビールを少しでも回復させるため、近くを流れる川にビールをつける。
適当なカマドを作り、炭をぶち込み、火をつけようとするがうまくいかない。
2,30分後に火がついたとき、暑さと空腹のせいで、私は肉とビールのことしか考えられなくなっていた。
焼く!食う!飲む!焼く!食う!飲む!
私たちは取り憑かれたようにこれらの行動を繰り返していく。
デジカメを持ってきたことを思い出したのは、一段落して「パックのごはん食おう」と思った時であった。
だが、電池切れを示すデジカメのランプが点滅している。替えの電池は…ない。
やっとのことで3枚取ったので、この日記の下の方に貼り付けておく。

その後、ごはんも食って腹一杯になって、ごつごつの河原で昼寝して帰ることにした。
駅に「おくたま」とひらがなで書いてあったので、
「甘えた言い方やなー、おくたまー、おくたまー、おくさまー」
と言ってみたが、Mえだ氏は疲れているらしく特に反応はなかった。

全く、こんな疲れることは定期的にやっていきたいものである。

パックのご飯を鍋でゆでているところ。
恐ろしく適当に作られた、かまどと名乗るのも恥ずかしいほどのかまど。
作成者の性格が伺える。
右上で大股開きをしているのはMえだ氏。
美しい大自然が広がる奥多摩。
この直後、雨が降り始め、キャンプ場の他の連中は木陰などに避難したが、
我々は雨の中黙々と焼肉を食い続けた。
願いは一つ「雨で火が消えませんように…」
左下は、Mえだ氏の黄金の左腕。
今回は焼肉のタレを入れた皿を持つのに活用していた。
写真ではわかりにくいが、完全に火が消えていなかった「かまど跡」に
火が復活!焼くべき肉もないのにメラメラ燃えていた。
火の用心。

3枚並べてみると、座った位置から正面、右、左を撮っただけに見えるのは気のせいである。


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