冒険に憧れる。
冒険というと大げさかな。ま、一人旅か。
数年前、本屋である旅行記を見つけた。
タイトルが相当ふざけていたので買ったのだが、
今となってはタイトル自体忘れてしまった。
タイトルと同じく、中身もふざけていた。
語り口調はふざけているわ、くだらないギャグが満載されているわ。
だが、すごく面白いのだ。
なんというか、読んでる間はゲラゲラ笑いながら楽しく読んでいるのだが、
読み終わってみると、
「こ、こいつ、実はすごい冒険してるんじゃ・・・?」
という感じだ。
特に「死海」の話がリアルであった。
塩分濃度が高いため、水に浮かんだまま本が読める、というあれだ。
実際にあれをやると、全身の穴から高濃度の塩分が侵入し、
特に肛門あたりに深刻なダメージを受けるという。
笑うやら感心するやら。
その本はもうかれこれ10回くらいは読んだだろうか。
この喜びを誰かに分けてやりたいと思い、当時好意を寄せていた女性に、
「おもしろいから絶対読んでみ!」
と渡したところ、
どうも10ページくらい読んだところで飽きて捨ててしまったようだ。
ま、待ってくれ!捨てるなら返してくれ!
あと20回くらい読むんだから!
苦い経験であった。
さまざまなことに影響を受けやすい私は、
世界をまたにかける冒険は無理なので、週末に小冒険をしてみようと
思うときがある。
「海が見たい!」
「静かな自然と戯れたい!」
「ついでに温泉つかりたい!」
など、小冒険というか、単なる旅行だが、
一人での旅行を想像すると悲しくなるため、
旅行記を買ってそのなかで楽しもうということになってしまうのだ。だが。
最近の旅行記に面白いものなし!
なんというか、「俺はこんな凄いとこに行ったんだ。かっこいいだろ、渋いだろ」
というものばかり。ときどきつまらないおっさんギャグが見受けられる程度だ。
悲しい。
ああ、あの失われた旅行記をもう一度読んでみたい。
確か、作者は宮田なんとか言う人で、ブックカバーの「著者近影」には、
歴史の教科書に出てくる人物によくやったようなラクガキがなされていることは
覚えているのだが。
最近、近所に古本屋を見つけたので、気合を入れて探してみようと思う。
というわけで、私の当面の冒険は古本屋が舞台となりそうである。
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