子供のころ、何故か土曜日はよく家族で外食をした。多分土曜は父が定時で帰ってくる日だったからだと思う。すごく高そうなところに連れてってもらった覚えもあるが、1番気に入っていたのは近所のすかいらーくだった。 とりつかれたようにチキンなんとかステーキを注文していた。それはチキンしょうゆステーキであったり、チキン悪魔風ステーキであったり、チキンガーリックステーキであったりした。こどもの定番であるハンバーグにはいまいち心を奪われなかった。 ちなみに私は母の手作りのハンバーグと冷凍食品のハンバーグどっちがおいしい?と聞かれて、正直に冷凍の。と答えてしまい、母をがっかりさせた覚えがある。まあここでは関係ない。 さて、メインのチキンのわきに甘く煮たにんじん、バターで炒めたほうれん草、とうもろこしのつぶつぶが添えられている。 そんな幸せな外食の最中、それは起こった。メインのチキンはまあいいのだが、脇役のにんじんとほうれん草の味がまるで落ちている。 にんじんが嫌いでも食べられそうなくらい甘く味付けられたにんじんは、うさぎの姿がイメージできるくらいにんじんくさくなっている。 単品でほうれん草ソテーを注文してもいいくらいうまかったほうれん草は、そこいらの雑草かと思うくらいの、単なるべっちょりした草と化していた。 にんじん係とほうれん草係が変わったのだろうか。こどもながらいっちょ前にそんなことを考えた。 もしかしたら係の人が風邪で休んだのかも知れないと勝手に思ったが、その次にすかいらーくに来たときも味は落ちたままだった。 コスト削減の一環とやらで何かをしたのだろうか。 そんなすかいらーくの仕打ちが許せなかった私と妹は、テーブルに備え付けの塩やこしょうなどの調味料入れのふたを思いっきりゆるめた。 さあ、料理に少し塩を振りましょ、とした瞬間、ふたがとれてどば、と塩やこしょうまみれになるというトラップだ。被害にあうのは何の罪もないお客さんだ。ごめんなさい。 このトラップをしかけてからというもの、塩やこしょうを使う際にはふたがゆるんでいないかどうか調べるイヤな癖がついてしまった。 他にも、コーヒー用のスティック砂糖を用もないのにポケットいっぱい持って帰るという悪の限りを尽くした。 私はこの塩こしょうトラップには引っかかったことが無いが、何者かが仕掛けたつまようじトラップには見事に引っかかった。 穴が一つだけぽつんとあいた容器からつまようじを取り出そうと、逆さにして振ると、ふたが取れてしまい、どばーっとつまようじが出てくる。あたり一面つまようじだらけになるという恐ろしいトラップだった。 他にも、飲み終わったコーヒーのカップにミルクをどぼどぼ入れておひやをぶち込み、ストローですするという悪事もやろうとした。これは母に発見されて怒られ、未遂に終った。 楽しい外食の思い出を語ろうと思ったのだが、単なる懺悔になってしまったところで今回の日記を終る。 |