自転車のサドルをとられた。

場所は会社近く。仕事を終えて帰ろうというときだった。サドルのない自転車を前にした私は、その事実を瞬間的に受け入れていた。

数秒間、まわりを見回しサドルがないかどうか確かめたがそのまま駅の方に向かって歩き始める。

おそらく数時間かけて探そうが,あたりにはサドルは落ちていまい。

一見すると何事もないように歩く私。しかし腹の中は当然煮え繰り返っていた。

野郎。犯人の性別はわからないが、こういうくだらないことをするのはまあ、男だろう。心の中でつぶやきながら、私は魂の暗黒面に徐々に包まれるような気がした。

だめだ。経験上、こういう感情に支配された場合にはろくなことが起きない。

私は帰宅するとまず飯を食った。落ち着いた。しゃあないな、という気持ちになる。飯を食ったり寝たりすると怒りの感情が軽減するということを狙ったものだ。

狙いどおりだった。

次の日、会社へは電車で行った。昼休みに悲しい私の自転車を見に行った。やはりサドルが無い状態で置いてあった。

私の精一杯の反撃は、馬鹿なこどものいたずらにめんどくさそうに対処する大人の態度をとることだ。

近所の百貨店に自転車コーナーがあり、そこにシートポスト(サドルの棒のとこ)と、サドル本体が売ってたので買った。2600円だ。思ったより安かった。

百貨店でシートポストとサドル本体を合体させ、ねじを締めてもらう。

そして、悲しい自転車にサドルを刺す。ビルトイン!という感じだ。

そして、二度と同じ目に合わないように、サドルの金具の部分にチェーン鍵を通して施錠する。完璧だ。

ちょっと予定外だったのは、シートポストが長すぎてサドルがちょうどいいとこまで下がらないことだった。私は足が決して長くない人なので、ちょっと困る。

まあいいか、いずれなれるだろう。まかり間違えて足が長くなるかもしれない。

サドルだけパクる馬鹿にやられたのはこれで二度目なので、次回からは気をつけようと思う。

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