私は4色ボールペンを愛用している。
迷子属性の私をサポートしてもらうために買った、ハンディGPSのおまけとしてもらったものだった。紫色のスケルトンボディで、赤黒青緑で字が書ける。

つまりこのボールペンは迷子属性を持つ者のしるしと言えよう。世の中には、ハンディGPSがないと困るようなやつはなかなかいない。

ところが、こないだ保険の更新とかできた保険のおねーちゃんは同じボールペンを使っていたのだ。

果たしてそれは、ハンディGPSのおまけなのかどうか。

私は聞けなかった。迷子属性を持つ者に「迷子ですか?」と聞くのはタブーなのだ。

単に同じタイプのボールペンであるかも知れない.

しかし私の頭の中には、ハンディGPSを握り締めて「えー、次の角を右に・・・」と迷子になっている彼女の姿が浮かんだ。運命かも知れない。迷子属性を持つ者同士の。

きっとそこには、ハンディGPSを自転車に積んだ私が迷いながら現れ、交差点を曲がったあたりで私が彼女を自転車で引いてしまうのだ。そして始まる何か。

熱く語り合う保険契約内容。回収される古い保険証書。もっと安い保険ないのと攻める私。力強く押される印鑑。

会社のすみっこの休憩スペースで熱いやりとりをしながら、私はそんなことを考えていた。

しかし、契約手続きが終ってからは彼女は姿を見せないので、どうも運命とかじゃないようだ。ちぇっ。


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