BE-PALという雑誌がある。

小金を持ったおっさんをターゲットにしたアウトドア雑誌で、キャンプするならこの道具!ツーリングするならこの道具!買いたい場合はどこそこへ連絡をみたいな、そういう雑誌だ。

どういう雑誌かよくわかんない人は買って読んだりしてみよう。読んだあとは用もないのにスパイクつきのブーツがほしくなったりしていることだろう。

その雑誌に、夏ごろ、くるぶしが露出するくらいの靴を素足に履くのが今年の流行だ!靴下を履くとかっこわるいからやめとけ!みたいなことが書いてあった。

私は流行にはあまり興味がないのだが、自転車旅行用に簡単に履けて軽い靴がちょうどほしかったので、その流行とやらを参考にしたのだ。

3000円くらいの靴を買う。素足に履く。ズボンは七部丈。

だが、雑誌の写真を見る限りでは決してわからない罠があった。

におい。

素足で靴を履くと当然なのだが足がくさくなる。

私のにおいはたとえるなら納豆だ。さらに当時は夏だったので、納豆がさらに発酵するのだ。

風呂に入ってさっぱりした状態で靴を履き、ちょっと近所まで行く。あっというまに足は靴のにおいに汚染され、納豆地獄だ。

その後、そこいらを歩くやつらを参考にしたところ、どうも短い靴下を履いている人が多いようだ。女の子が履くような。

なるほど、これなら目立たないかも知れない。買うときに初めて知ったのだが、これはスニーカーを履くときに合わせて使うと、素足でスニーカーを履いているようなイキな演出をしつつも足のにおいを抑えるという効果があるらしいのだ。

なるほど、世間は進歩していたのだな。私もこれからは3足1000円のコーナー以外も見ることにするよ。

私は短い靴下を履き、くるぶしを露出しつつ近県を荒らしまわった。というかうろつきまくったのだった。

あれから半年、納豆靴もそろそろくたびれてきたので、新しいのを買いに行った。今度は納豆なんかじゃなく、フルーツとか猫のおなかのにおいとかそういういいにおいっぽく育てて行きたい。

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