魔の密法ホテル

仙台の方に行った。
目的はここでは公開することが出来ない。
これを話すと私は組織から狙われることになるのだ。すまない。

まあ、それはさておき。いいところである。仙台市街はそうでもないが、少し離れるとのどかな田園風景が広がって
非常に落ち着く。

さて、そのときにビジネスホテルに泊まった。駅から少し離れているのでタクシーで向かう。
到着すると看板が出ており、その看板を読んでこのホテルを経営しているのが真言密教の宗教団体であることがわかった。

これはおそらく偏見だろうが、真言密教というと、気合一発で熊を倒しそうなイメージがある。
ホテル内にはそういう修行僧の気合が響き渡っているかも知れないな、などと思いながら中に入った。

チェックインをしようとフロントに向かうと、山伏みたいな受付がいるかと思ったら普通のおばさんで拍子抜けした。考えすぎか・・と思ったそのとき。

フロントうしろを、作務衣(陶芸の人間国宝が着てそうなやつ)を着た、でかいオッサンが通った。 髪の毛はなく、ひげがボウボウである。いかにも熊を気合で倒しそうだ。

修行僧だ、と思った。修行僧はこちらをじろり、と一瞥して通りすぎていった。

その後、ホテルを出て仙台駐在の諜報員と落ち合い、情報交換を行った。その内容は最高機密であるため、 ここで公開することは出来ない。すまない。

ホテルに戻り、フロントに鍵をもらいにいった。部屋の鍵は出かける前に預けてあったのだ。

さきほどのおばさんが居て、こちらは何も言ってないのに鍵を出された。私の顔を覚えているのかっ?むうっ、きっとこの一見普通のおばさんは一瞬の内に秘密文書などを記憶するような、なんか知らないけど、すごい術を 身につけた修行僧に違いない。このおばさんを勝手に記憶修行僧と名づけ、部屋に戻った。

さて、シャワーでも浴びましょ、と思ったところ、湯が出ない。

5分くらい出しっぱなしにしても、ずっと水のままだ。ちゃんと赤い丸のついた方の蛇口を回しているのに。 フロントに電話したら、記憶修行僧のおばさんが出た。すぐに伺います、とのことだった。

だが、部屋に来たのは例の作務衣の修行僧だった。湯が出ないんです、と伝えると部屋に入ってきた。 おかしいな、という顔をして蛇口をひねっている。なお、この間、修行僧がいきなり気合を発してやられないように 私は警戒体勢をとっていた。

・・が、気合を発する代わりに修行僧は振り向き、「出ますよ」と言った。馬鹿な!さっきまでは確かに出なかったのに。
見てみるとたしかに湯が出ている。修行僧はそのまま帰った。 きっと、蛇口に気合を入れ、湯が出るようにしたに違いない。恐るべし。このオッサンは「湯沸し修行僧」と名づけた。

で、寝て次の日の朝。朝軽くシャワーでも浴びようと思ったが、また湯が出ない。おそらく湯沸し修行僧の気合が切れたので あろう。またあの怖いオッサンが来るのもいやなので、顔を洗うだけにしておいた。

チェックアウトのとき、記憶修行僧のおばさんがいるかと思ったら、やせたおっさんが出てきた。やはり作務衣を着ている。 湯沸し修行僧が気合を使ったのでしぼんでしまったのかと思ったが、顔が全然違うようだ。

その後普通に清算をして、何も特殊能力を見ることは出来なかったが、きっとなにかあるに違いない。 気合一発でごみを吹き飛ばして掃除するとか、気合一発で朝ご飯の用事をするとか。

そういったわけで、無事に魔のホテルから無事に生還できた。 だが、宿泊費が安いのでまた来ようと思う。

まあ、今考えるとただのホテルだったような気がするが・・といったところで、今回の日記を終わる。



割とどうでもいい日記メニューへ

全力HPホームへ