バーバパパ似のSさん
会社のSさんと、客先に行った。
客は生命保険系の会社で、それはそれは厳しいセキュリティがかかっていた。
ここで言うセキュリティとは、以下のようなものである。
・部屋や、重要な部屋に入るときには認識マッシーンにカードを通さなければならない。
・マシンルームなど、さらに重要な部屋には指紋認証マッシーンを通らなければならない。
・金属探知マッシーンがある。
・退室するときには、警備員にカバンの中身を見せなければならない。
どうだろうか。金融機関であれば、この程度は当たり前なのだろうか。
この日、私とSさんは単なるお目付け役という感じでマシンルーム内にいた。
作業員はあれこれ忙しそうにしているが、はっきりいって暇である。
Sさんと相談し、茶を飲んでさぼろう、と言うことになった。
が、勝手に出ることは出来ない。前出の指紋認証マッシーンがあるからだ。
客の一人に、「ちょっと内部の打ち合わせをしたいので…」と適当なことを言い、
出してもらうことにした。
客「では、この先の警備員にカバンの中身を見せてから外に出てください。」
Sさん「大丈夫かなー、エロ本は入れてなかったと思いますけど。わっはっは」
Sさんは、バーバパパそっくりの体をゆっさゆっさと震わせながら言った。
明らかに客の大爆笑を期待している。
だが、客は真顔で、
「そうですか。パソコンなんかの機器類だとあれこれチェックが入るんですよ」
と答えていた。
外に出て、
「笑ってもらえませんでしたね。」
というと、Sさんは大層悲しそうな顔をしていた。
その後、作業は難航していた模様で、結構遅い時間までかかってしまった。
客先を出た頃には、夜の10時ごろである。
せっかくだから、ちょっとだけ飲んで行こうということになった。
酔っ払って、あれこれ話をする。
ふと、Sさんがびっくり仰天するような新事実を公開した。
Sさん「いやー、私いつも40代に見られるんですけど、実はまだ36なんですよ」
私「ぃええっ!?」
当時、作業担当のかた二人が居たのだが、私が一番驚いてしまったようだ。
私はてっきり40半ばくらいだと思っていたのだ。
Sさん「ど、どうしたのkabukiくん」
私「そうだったんですか…今まで大変申し訳ない勘違いをしておりました。」
Sさんは再度悲しそうな顔をしたが、酔っているせいかすぐに気を取りなおしたようだ。
その後うっかり、
「Sさんってバーバパパに似てますよね。」
と言いそうになったが、かろうじて抑えることができた。
全く、酔っ払って何でも正直に言ってしまうのは私の悪い癖である。
なお、今までの正直発言…暴言とも言う…には「笑いじわ」「ヅラ」「ミニラ」などがある。
本当はもっとあるが、その他は秘密だ。
なんでもかんでも正直が良いとは限らない…これは肝に銘じておかなければ。
銘じたところで、今回の日記を終わる。
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