ととっこは、しっぽの長い猫だ。
しっぽは別の生き物のようにくねくね、くねくねと動いている。
ある日、ととっこが自分のしっぽに気づく。
しっぽ「ぴくっ。ぴくぴくっ」
む、なんだお前は。
しっぽは答えない。ただ、ぴくぴく・くねくねと動いているだけだ。
なんだと聞いている！ ととっこは獲物を狙う肉食獣の目でしっぽをにらみつける。
ととっことしっぽの間に緊張が走る。
ととっこはついに、必殺の右前足を放つ。
一瞬捕らえられたかに思われたしっぽは、右前足からしゅるりと逃げ出していた。
追うととっこ。
だが、追えば追うほどにしっぽはすばやく逃げる。
こいつ…手ごわい。
その後も死闘は続く。ときどき昼寝したり、猫缶を食べたりしながら続く。
約一ヵ月後、ととっこはそのすばやいライバルが自分の体の一部であることを理解したようで、寝るときはしっぽが勝手に動いてどこかに行ってしまわないよう、前足で押さえて寝ることにしているようだ。
この猫は大丈夫だろうか…そんな心配をしていた私もほっとする。ととっこはようやく、自分の体を把握したのだった。
▲くつ箱でくつろぐととっこ団長
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