膀胱炎 猫 症状 原因 治療 予防法 完全ガイド

膀胱炎 猫 症状 原因 治療 予防法 完全ガイド

膀胱炎 猫 症状 原因 治療

猫の膀胱炎とは
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膀胱の内側に炎症が生じる病気

膀胱炎は猫が発症しやすい病気の一つで、膀胱内部に炎症が起こる状態です。放置すると命に関わることもあります。

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再発リスクが高い

猫の膀胱炎は再発しやすい特徴があり、特発性膀胱炎の場合は約半数が1年以内に再発すると言われています。

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早期発見が重要

初期症状に気づきにくいため、飼い主さんの日頃の観察が大切です。適切な治療で猫の苦痛を軽減できます。

猫の膀胱炎は、多くの猫が一生のうちに一度は経験する可能性のある一般的な疾患です。膀胱炎とは、膀胱の内側にある粘膜に炎症が生じる状態を指します。猫にとって非常に苦痛を伴う病気であり、適切な治療を行わないと深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

 

膀胱炎は猫の年齢や性別を問わず発症しますが、特に室内飼いの猫や肥満傾向にある猫、ストレスを感じやすい猫に多く見られます。また、オス猫は尿道が細いため、膀胱炎から発展する尿道閉塞のリスクが高く、より注意が必要です。

 

膀胱炎は猫の健康に大きな影響を与える病気ですが、早期発見と適切な治療によって回復が期待できます。この記事では、猫の膀胱炎について詳しく解説し、飼い主さんが知っておくべき重要な情報をお伝えします。

 

膀胱炎 猫 症状 見分け方とチェックポイント

猫の膀胱炎の症状は、初期段階では気づきにくいことがあります。しかし、以下のような変化が見られたら、膀胱炎を疑う必要があります。

 

頻尿と排尿の変化
膀胱炎になると、猫は少量ずつ何度も排尿するようになります。これは膀胱内部の炎症により、わずかな尿がたまっただけで尿意を感じるためです。通常より頻繁にトイレに行く様子が見られたら注意が必要です。

 

排尿時の痛みや不快感
膀胱炎の猫は排尿時に痛みを感じることがあります。そのため、以下のような行動が見られることがあります。

  • トイレで痛そうに鳴く
  • 排尿時に体をこわばらせる
  • トイレに長時間いるのに尿量が少ない
  • トイレ以外の場所(ベッドやソファなど)で排尿する

尿の異常
膀胱炎の猫の尿には以下のような異常が見られることがあります。

  • 血尿(ピンク色や赤色の尿)
  • 濁った尿
  • 強い異臭がする尿

行動の変化
膀胱炎による不快感から、猫の行動にも変化が現れることがあります。

  • 食欲の低下
  • 元気がない
  • 過度に自分の陰部を舐める
  • トイレを怖がるようになる

特に深刻な症状として、尿が全く出なくなる「尿道閉塞」があります。これは特にオス猫に多く見られ、緊急性の高い状態です。尿道閉塞の症状には、頻繁にトイレに行くが尿が出ない、うずくまる、痛がる、嘔吐するなどがあります。この状態は24時間以内に命に関わる可能性があるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。

 

膀胱炎 猫 原因 結石や細菌感染の詳細

猫の膀胱炎には様々な原因がありますが、主に以下のようなものが考えられます。

 

結石・結晶による膀胱炎
膀胱内に形成される結石や結晶は、猫の膀胱炎の主要な原因の一つです。

 

  • ストルバイト結石:マグネシウム、アンモニウム、リン酸塩からなる結晶で、アルカリ性の尿環境で形成されやすい特徴があります。特に市販のドライフードのみを与えている猫に多く見られます。
  • シュウ酸カルシウム結石:酸性の尿環境で形成されやすく、一度できると溶けにくい性質があります。近年増加傾向にあり、特に中高齢の猫に多く見られます。

結石や結晶は膀胱内で炎症を引き起こすだけでなく、尿道に詰まることで尿道閉塞を引き起こす危険性があります。特にオス猫は尿道が細いため、小さな結石でも閉塞を起こしやすいのが特徴です。

 

細菌感染による膀胱炎
猫の膀胱炎の原因として細菌感染は比較的少ないとされていますが、特に高齢猫や免疫力が低下している猫では発症リスクが高まります。

 

  • 主な原因菌:大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌など
  • 感染経路:主に尿道から上行性に感染することが多い
  • リスク要因:糖尿病や腎臓病などの基礎疾患、ストレス、免疫力の低下

細菌感染による膀胱炎は、抗生物質による治療が必要となりますが、適切な治療を行わないと慢性化や再発のリスクが高まります。

 

特発性膀胱炎(FIC)
特発性膀胱炎は、明確な原因が特定できない膀胱炎のことで、10歳以下の若い猫に多く見られます。FLUTDの約60%を占めるとされています。

 

  • 関連要因
    • ストレス(新しい家族の追加、引っ越し、環境変化など)
    • 肥満
    • 水分摂取量の不足
    • 室内飼いによる運動不足
    • 不適切な食事(ドライフードのみなど)

    特発性膀胱炎は、猫の膀胱粘膜の保護層が損なわれることで発症すると考えられています。ストレスにより自律神経系のバランスが崩れ、膀胱の炎症が引き起こされるメカニズムが推測されています。

     

    その他の原因

    • 解剖学的異常:先天的な尿路の形態異常
    • 腫瘍:膀胱や尿道の腫瘍(特に高齢猫に多い)
    • 外傷:事故や怪我による膀胱や尿道の損傷
    • 神経障害:脊髄損傷などによる排尿機能の障害

    猫の膀胱炎の原因を正確に特定するためには、獣医師による適切な検査が必要です。原因によって治療法が異なるため、自己判断せずに専門家に相談することが重要です。

     

    膀胱炎 猫 治療法 抗生物質と療法食の効果

    猫の膀胱炎の治療は、原因や症状の重症度によって異なりますが、基本的には以下のような治療法が用いられます。

     

    抗生物質による治療
    細菌感染が原因の膀胱炎には、抗生物質が処方されます。

     

    • 処方される抗生物質の種類:アモキシシリン、エンロフロキサシン、セファレキシンなど
    • 投与期間:通常2〜4週間程度(症状が改善しても処方された期間は継続することが重要)
    • 投与方法:経口薬が一般的ですが、重症の場合は注射による投与も

    細菌培養検査を行い、原因菌に効果的な抗生物質を選択することが理想的ですが、緊急性がある場合は広域スペクトルの抗生物質が処方されることもあります。

     

    療法食による治療
    膀胱炎、特に結石や結晶が関与している場合は、特別な療法食が重要な治療法となります。

     

    • ストルバイト結石の場合:尿をやや酸性に保ち、マグネシウムの含有量が少ない療法食
    • シュウ酸カルシウム結石の場合:尿をやや中性に保ち、カルシウムの排泄を抑える療法食
    • 特発性膀胱炎の場合:ストレス軽減成分を含む療法食

    療法食は単なる食事ではなく、治療の一環として処方されるものです。獣医師の指示に従い、適切な期間継続することが重要です。

     

    水分摂取量の増加
    膀胱炎の治療において、水分摂取量を増やすことは非常に重要です。

     

    • ウェットフードの活用:水分含有量が多いウェットフードを中心とした食事に切り替える
    • 給水方法の工夫:複数の水飲み場を設置する、流水式の給水器を導入する
    • 水の質:新鮮できれいな水を常に用意する

    水分摂取量が増えることで尿量が増加し、膀胱内の洗浄効果が高まります。これにより、結石や細菌、炎症物質が排出されやすくなります。

     

    痛みの管理
    膀胱炎は猫に強い痛みをもたらすことがあるため、痛みの管理も重要な治療の一環です。

     

    • 鎮痛剤:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)など
    • 抗けいれん薬:膀胱の痙攣を和らげる薬

    ただし、これらの薬剤は副作用のリスクもあるため、獣医師の指示に従って適切に使用することが重要です。

     

    重症例の治療
    尿道閉塞などの重症例では、入院による集中治療が必要となります。

     

    • 尿道カテーテル:閉塞を解除し、膀胱内の尿を排出する
    • 点滴:脱水や電解質バランスの是正
    • 麻酔下での処置:結石の除去など
    • 手術:重度の結石や腫瘍、解剖学的異常の場合

    尿道閉塞は緊急性の高い状態であり、速やかな治療が必要です。治療が遅れると腎不全や代謝性アシドーシスなどの合併症を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

     

    治療費の目安
    猫の膀胱炎の治療費は、症状の重症度や必要な処置によって大きく異なります。

     

    • 軽度の膀胱炎:初診料、検査費、薬代を含めて約1万円〜2万円
    • 中程度の膀胱炎(複数回の通院が必要な場合):約3万円〜10万円
    • 重度の膀胱炎(入院や尿道カテーテル挿入が必要な場合):約10万円〜35万円

    特に尿道閉塞の場合は緊急処置が必要となるため、治療費が高額になることがあります。ペット保険への加入を検討することも一つの選択肢です。

     

    膀胱炎 猫 予防法 水分摂取とストレス対策

    猫の膀胱炎は再発しやすい病気であるため、予防策を講じることが非常に重要です。以下に効果的な予防法をご紹介します。

     

    水分摂取量の増加
    水分摂取量を増やすことは、膀胱炎予防の最も重要なポイントです。十分な水分摂取により、尿が希釈され、膀胱内が洗浄されるため、結石や細菌の蓄積を防ぐことができます。

     

    • ウェットフードの活用
      • ドライフードのみの食事からウェットフードを取り入れた食事に変更する
      • ドライフードを与える場合は、少量の水で湿らせてから与える
    • 給水環境の工夫
      • 複数の場所に水飲み場を設置する(特に食事場所から離れた場所にも)
      • 猫が好む素材の水飲み容器を選ぶ(セラミック、ガラス、ステンレスなど)
      • 流水式の給水器を導入する(多くの猫は流れる水を好む傾向がある)
      • 水は常に新鮮なものを用意し、毎日交換する

      適切な食事管理
      食事内容も膀胱炎の予防に大きく関わります。

       

      • バランスの取れた食事
        • 高品質のキャットフードを選ぶ
        • 獣医師に相談し、猫の年齢や健康状態に合った食事を選択する
      • 療法食の継続
        • 過去に膀胱炎を経験した猫は、獣医師の指示に従い、予防のための療法食を継続する
        • 特に結石の種類に応じた適切な療法食を選ぶことが重要
      • 体重管理
        • 肥満は膀胱炎のリスク要因となるため、適正体重を維持する
        • 定期的に体重をチェックし、必要に応じて食事量を調整する

        ストレス軽減対策
        特に特発性膀胱炎の予防には、ストレス管理が非常に重要です。

         

        • 快適なトイレ環境の提供
          • 清潔なトイレを維持する(最低でも1日1回の清掃)
          • 猫の数+1の数のトイレを用意する
          • 静かで落ち着ける場所にトイレを設置する
          • 猫が好むトイレの種類や砂を選ぶ
        • 環境エンリッチメント
          • 十分な遊び時間を確保する
          • キャットタワーや隠れ家など、猫が安心できる空間を作る
          • フェロモン製品(フェリウェイなど)の活用
          • 規則正しい生活リズムを維持する
        • 多頭飼いの場合の配慮
          • 各猫に十分なスペースと資源(食器、水飲み、トイレ、寝床など)を提供する
          • 猫同士の相性に注意し、必要に応じて分離飼育を検討する

          定期的な健康チェックと早期発見
          予防には、定期的な健康チェックと異変の早期発見も重要です。

           

          • 定期健康診断
            • 年に1〜2回の定期検診を受ける
            • 特に高齢猫や過去に膀胱炎を経験した猫は、尿検査も含めた検査を受けることが望ましい
          • 日常的な観察
            • 排尿の頻度や量、色、匂いの変化に注意を払う
            • トイレの使用状況を定期的にチェックする
            • 行動の変化(頻繁なトイレ通い、痛がる様子など)に敏感になる
          • 早期受診
            • 膀胱炎の兆候が見られたら、早めに獣医師に相談する
            • 特にオス猫の場合、尿道閉塞のリスクがあるため、排尿困難の症状は緊急事態として対応する

            膀胱炎 猫 特発性膀胱炎 ストレスとの関連性

            特発性膀胱炎(FIC: Feline Idiopathic Cystitis)は、猫の下部尿路疾患(FLUTD)の中で最も多い原因とされており、特に10歳以下の若い猫に多く見られます。「特発性」という名前が示す通り、明確な原因が特定できない膀胱炎ですが、近年の研究でストレスとの強い関連性が明らかになってきました。

             

            特発性膀胱炎とストレスの関係
            特発性膀胱炎の発症メカニズムは複雑ですが、ストレスが重要な引き金になることが分かっています。

             

            • 神経内分泌系の変化
              • ストレスを感じると、交感神経系が活性化し、ストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌が増加
              • これにより膀胱の血流が減少し、膀胱粘膜の保護機能が低下
              • 結果として膀胱の炎症や痛みが生じる
            • 膀胱保護層の損傷
              • 健康な膀胱には、グリコサミノグリカン(GAG)と呼ばれる保護層が存在
              • ストレスにより、この保護層が損傷すると、尿中の刺激物質が膀胱壁に直接触れ、炎症を引き起こす
            • 膀胱-脳の相互作用
              • 特発性膀胱炎の猫では、脳と膀胱の間の神経伝達に異常があることが示唆されている
              • これにより、通常なら無害な刺激に対しても過剰に反応し、痛みや炎症を感じやすくなる

              ストレス要因となる環境因子
              猫にとってのストレス要因は、私たち人間が考える以上に多岐にわたります。

               

              • 環境の変化
                • 引っ越し
                • 家具の配置変更
                • 家族構成