むぎゅう。
つり革に掴まれたら超ラッキー、座席に座れるなんて奇跡に近い。
そんな通勤電車で、ひたすら耐えている。
おっさんの放つ臭い息、高い位置から吹き降ろされる鼻息、化粧の濃い女が繰り出す硬いカバンの角攻撃…。アーッ!と叫んで走り去ってしまいたいときもある。突然、電車を降りて、旅に出てしまいたい衝動にかられる。
けど、そうもいかない。ならば、この苦痛を少しでも減らす方法はないだろうか。
帰りはともかく、朝の通勤時は新聞・雑誌を読むスペースはない。いや、厳密に言えば、周辺の人をヒジでぐりぐりしたり、新聞や雑誌を他人の顔に押し付けたりすれば可能だ。でも、それはできない。私がされたらめちゃめちゃイヤだからだ。
MDウォークマンで音楽を聴いていたこともある。しかし、やがて飽きてくる。
ラジオは入らない。地下鉄通勤だからだ。
結局、何もすることがない。ぎゅうぎゅう詰めの中、中吊り広告なんかを読む。すると、自分のことを見られてると勘違いした人がキッとにらむ。私はひたすら、この苦痛の時間が早く過ぎることを祈り、うつむいてじっとしているのだ。
その苦痛な空間を和らげる娯楽があった。
ラジオである。
地下鉄だからラジオは入らないと言ったばかりなのに、なんだと思うかも知れないがラジオだ。実は、先日、元上司のNさんと飲んでいて、今まで考えもしないラジオの聞き方を教わったのである。
新しいラジオの聞き方へ
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