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パカパカ行進曲に吹きだす
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パカパカ行進曲に吹きだす
954 TBSラジオで、土曜の午後にパカパカ行進曲というのがやっている。

電話で視聴者の面白話を聞いて、前の人より面白い人が勝ち残り、賞金を貰うという番組だ。今回は録音ではなく、それを生で聞きながら近所をうろついてた。

この番組、視聴者の話だけだとそんなに面白くない。けど、パーソナリティの宮川賢のいじり方や突っ込み方、下品な笑い方などが加わるととんでもなく面白くなるのだ。

私はイヤホンを耳につけて、道路を歩いている。正面から、しかめっ面のおっさんが歩いてくる。や、やばい、宮川賢がまた面白いことを言いそうな雰囲気だ。

私は口元を押さえ、のどの調子が悪いようなフリをして咳払いをしたりする。けど、宮川賢は容赦しない。笑いの波を電波に乗せて、がんがん送ってくるのである。

ついに、ぷふぅ、と漏れる笑い。だめだってば。あ、おっさんがこっちみてる。やばい。ぶふっ。見てる見てる。ぶふっ。

おっさんがしかめっ面で私を見ているという事実がさらにおかしくて、もう苦しくなる。助けてくれ。もう許して。

おっさんは去った。続いて、二人連れの若い女性が正面から歩いてきた。宮川賢がまた調子に乗って面白いことを言う。あまりのおかしさに私は、内部で何かが爆発してしまったような顔になっていた。

早足で若い女性たちとすれ違い、前方に人が居ないのを確認すると私は吹きだした。セキが出るほど吹きだした。ぷふーっ、ごほ、ごっほごほごほっ!

もうだめだ。私は逃げた。

出来る限りの早足で家へ向かったのである。そして、逃げている自分がおかしくなって、さらに悶え苦しみながらようやく家にたどり着いた。

私は部屋の中で思う存分、声をあげて笑った。汗を拭きつつ、冷たい飲み物を飲んで笑いまくった。

飼い猫が私の顔を怪訝そうに見ながら、爪を研いでいた。


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