ととっこの行動は、どれもこれもなんだか賢そうな感じがする。
何をしててものんびりしてていいねと言われる私としては、少しうらやましい。
部屋の隅を上目遣いで見るのは、やはり、何かが見えているからなのだろう。窓から外を眺めているのは、世界の平和に想いを馳せているからなのだろう。家具のすき間の狭いとこに入り込むのは、未知の世界への扉を探しているからなのだろう。
ととっこは、探求し続ける。考え続ける。ときどき猫缶を食べたり、寝たりしながらも、その偉大な行動を続けるのだった。
ある日、ととっこがふとんの一部を前足で交互に引っかいていた。
いや、これは掘っている。明らかに穴を掘っているようだ。
見てみたが、そこから何か臭いがしているとかいう訳でもない。ただ、ととっこは真剣な顔でそこを掘っている。
私は聞いてみる。
「そこに何かあるのか？」
ととっこは、穴掘りを中断して、私の顔を見る。少し悲しげに短く鳴く。
手を貸してくれ。世界の一大事なんだ。
そう言われた気がして、私もととっこに手を貸す。あるいは、ここ掘れわんわんということもかもしれない。その部分を掘り始める。といっても、そう簡単に布団は掘れない。ただ引っかいているだけである。
私とととっこは、世界を救うために布団をしゃかしゃかと掘り続ける。ふと、ととっこが掘るのをやめ、そこに寝転ぶ。
私も掘るのをやめる。
どうやら世界は救われたか、飽きたかしたようだ。私はぴこぴこ動くととっこのしっぽを見て、一安心するのだった。
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