ととっこ団通信
ことっこのたいいん
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ことっこのたいいん
 不妊手術から二日。ことっこを病院に迎えに行ってきた。

 手術などという怖いことをされ、人間を恐れるようになっているんじゃないだろうか。だが、仕方あるまい。また再び時間をかけて、人間への恐怖心を少しづつ取り除いていくしかないのだ。

 ことっこは、キャリーケースの中で犬のようなうなり声をあげてた。先生によると、暴れまくって近づく先生をひっかきたおしたらしい。そんでもって、手術後におなかを保護するための、ガーゼの服を脱いでしまったそうだ。

 未だ、肝臓の数値が高いとのことで、肝臓の薬をもらう。さらに、虫下しの薬ももらった。

 診察室を出て支払いをし、タクシーに乗る。ことっこはうなるのをやめて、きゅうきゅう泣き出した。ともかく、家に戻ろう。

 家でキャリーケースを開けると、ことっこがしゅるりと出てきた。まず、ガーゼの服を着せようと捕まえ、ひざに乗せる。暴れてひっかかれるのを覚悟していたが、ことっこの反応は意外だった。

 私の顔を見上げ、目を細めてごろごろ言い出したのである。ことっこ。お前をあんな怖い目に合わせたのはこの私なのだ。思いっきり引っかいてもいいぐらいなのである。

 ごめんな、ごめんなとつぶやきながらことっこにガーゼの服を着せる。4つの穴に足を通し、背中でガーゼを結ぶのだ。ことっこのおなかの毛はそられていた。そして爪はぼろぼろになっていて、血がにじんでた。

 よっぽど怖くて爪が割れるほど暴れまくったんだろう。私だ。私がこんな目に合わせたのだ。けど、ことっこは相変わらず目を細めてごろごろ言っている。なんだか泣けてきた。

 はっきり言って、私は覚悟が足りなかった。

 これから人間と暮らすために必要な手術だったとは言え、ととっこ団にとっては、とても怖いことだったのだ。けど、どうすることも出来ないので、出来るだけかわいがったり遊んだりしてやろうと思った。たまにはおいしいもんも食わせてやろう。トイレもこまめに掃除してやろう。面白おもちゃも買ってやろう。少しでも世話がめんどうだと感じたら、この日のことを思い出そう。そして、ととっこ団長のことを。

 しばらくの間、病院くささが染み付いたことっこのにおいをかいでいたぱくっこは、私がことっこにばかり構っていたせいか、物凄い勢いで部屋を荒らしまわり、私に退治されてケージの中に入れられたのだった。


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