新潟サイクリング 佐渡・両津港

ゴールデンウィーク突入。

 

せっかくの長い休みだから、どっかそれなりのとこに出かけたい。どこがいいだろうと考えた結果、新潟に行くことにした。

 

新潟といえば、米、海の幸、新潟美人。私にはその程度のイメージしかないが、長期休暇に出かける先としてはなかなか良いのではと思われた。

 

今回、8連休を取ることができた。前半はちょっと仕事とかがあったりして後半に二日の有休を組み入れることで8連休なのだ。

 

行き先が遠いほど、行きたいんだけどなんか行きたくないみたいないつもの感じ。行ったら楽しいんだろうけど、道中めんどくさいことも起こるんだろうなあみたいな感じだ。

 

一日目、クリーニング屋に行ったり、部屋をすこし片付けたり、出かける準備をする日ということにする。

 

二日目、なんか寝坊したので、うだうだしてすごす。

 

三日目、天気予報を見ると、新潟はどうも雨が降っているらしいので、じゃあ仕方ないよなと自分を納得させて、うだうだすごす。

 

四日目、新潟は晴れているようだが、東京に雨が降っていた。

 

このまま行くと、うだうだしたまま連休が終了するということにうすうす気がついた。そして、連休どこにも行けなかったとか言ってる自分を想像したりした。

 

いやだ。とてつもなくいやだ。

 

細かいことを考えすぎてスタートができない、いつものパターンだ。またこのパターンにはまってしまったか。

 

少し考え、新潟まで夜行列車で行き、そっから佐渡に行くことにした。残り日数は4日しかない。佐渡はキャンプ場が多いようなのでテントを持っていく。

 

快適な旅のため、あれやこれやとかばんに詰め込んだ。かばんはもう満タンだ。だめだ、すこし減らそう。というわけで、今回は寝るときに下に敷くマットみたいなのをカットした。ついでに虫除けスプレーとか耳かきとか洗濯バサミとかの入った小物袋もカット。

 

結局、テント、寝袋、携帯コンロ、携帯なべ、ステンレスコップ、着替え他を持ってくことにした。記録用にカメラつき携帯、ICレコーダーを装備。

 

ICレコーダーは数年前に英会話教室に通っていた際に使用していたものだ。すっかり使わなくなったのだが、電池を入れるとまだ動くので今回役に立ってもらおうというわけだ。

 

まずは夜行列車の指定券を買いに行った。ムーンライトえちご号という列車で夜の11時に新宿を出て、新潟に朝の5時ごろ着くらしい。指定券は510円、乗車券と合わせるとまあ7000円弱で新潟までたどりつけるらしい。
実は、みどりの窓口に行く前にインターネットで予約をしてあった。インターネットで予約したんですが、と伝えるとあー、はいはいみたいな反応で、無事に買えた。

 

インターネット?なんですかそれはみたいな時代はもう何年も前に終わったらしい。

 

いったん家に帰る。夜になって、幸い雨もやんだようだ。自転車にかばんをつみ、近所の新中野駅に向かう。荷物が重い。
こんな重いものをかついで新潟くんだりまでいくですか私は。どうもマイナスイメージばかりがふくらんでしまう。

 

駅前で自転車をたたみ、袋に入れた。自転車袋とおおきなかばん。大きな荷物二つを持って、私は新宿行きの電車に乗りこんだ。

 

わくわく感はまったくなくて、私は何をしちゃってるんだろうみたいな自分を白い目でみるような後ろ向きの気分のまま、今回の旅はようやく始まったのだった。

 

夜の十一時。新宿駅はまだまだ人が多かった。ホームに出るとまだ出発まで30分もあるようだ。15分前くらいにムーンライトえちごは来た。

 

私の席は偶然、最後尾だった。イスの後ろに自転車を置くのにちょうどいいスペースが空いている。ありがたい。

 

二人がけの座席が二列。その座席が、1/4くらい埋まったあたりで電車は出発した。これが6時間弱くらいで新潟についてしまうわけだ。

 

新潟はどんなところだろう。イメージはやっぱり、米、海の幸、美人だ。米はまあ食ってくるとしよう。海の幸もまあ食えるだろう。最後の美人は、新潟で色の白い女の人を見たら、もうそれで新潟美人を見たってことにしとこうとか、そんなことを考えていた。

 

徐々に眠くなる。しかし、座席はあまり倒れないようにできていて、楽な姿勢がなかなか取れない。もぞもぞと体勢を変えながらうとうとする。高崎に到着だ。

 

もう二年前か、自宅から高崎まで自転車で行って感動したのは。ああ、そうそうこんな感じの駅だった。多分。

 

本当ならこの高崎で降りて続きを走りたい気もするが、まあそれは今度にしよう。その今度は永遠にやってこない気もする。

 

さらに電車は走る。私が眠っている間も電車は走る。楽ちんだ。楽ちんなのだが、ずっと座ったままの状態なので体のあちこちが痛かった。

 

次に目を覚ますと4時過ぎだった。空はうっすら明るくなっている気がする。あんまり寝た気はしない。大丈夫なのか、こんな状態で。

 

もうここまで来てしまって、大丈夫ではないとしてもしょうがない。ベストコンディションじゃないのはいつものことなのだ。そうか、きっとベストコンディションになるのを待っていたらどこにもいけないのだな。

 

いけないいけない、と思いつつトイレに行った。長時間まわりに人がいる環境だとなんというかその、腹にガスがたまりがちだ。ストレートにいうと屁がたまりがち。

 

トイレにいってガスを抜いた。ぶばお、と結構すごい音がした。席に戻ると回りのひとが全員目を覚ましていてこっちをみてたらどうしよう、と思ったがそんなことはなかった。

 

二回目のガスを抜きに行った頃、外はすっかり明るくなっていた。それでもまだ5時にもなってない。そろそろ新潟に到着する時刻だ。

 

新潟に到着した。

 

あっけなく到着した。

 

数々の敵と戦い、多くの罠をくぐりぬけて死に物狂いでようやく到着したみたいな感じはなかった。そりゃあそうだ、ただ寝てただけだし。

 

電車を出て、ホームに降りる。東京と比べて少し寒いような気がする。ただ、それが気のせいなのかどうかわからない。


 

新潟駅北口に出て、自転車を単なる荷物から頼りになる足へと変身させた。念のために言うと、おりたたみ自転車を乗れる状態に拡げたということだ。

 

新潟駅周辺は、新宿アルタ前みたいにでっかいテレビがあった。背の高い建物がいっぱい建っていた。

 

なんか普通に都会だ。つまらない。

 

初めて仙台に行ったときも思ったが、やっぱ新幹線が止まるような場所は都会になってしまうんだろう。だが、この駅前周辺はきっと新潟のほんの一部に違いない。

 

この先にきっと、本当の新潟が、自然あふれる新潟が私を待っているのだ。さあ新潟よ、お前の本当の姿を見せてみろ。

 

そんなことを少しだけ思いながら、寝不足で少し重い胃をかかえ、私は佐渡汽船のりばに向かったのだった。
<つづく>
<つづき>
佐渡汽船乗り場まではタクシーで数分、きっと自転車でも30分くらいあれば到着するだろう。こっちが佐渡汽船乗り場、みたいな道路標識もあって迷いそうもない。

 

迷いそうもないが、私の腹がちょっとばかりピンチだった。トイレを探す。

 

タイミングのいいことに、300m先に公衆便所があると標識が出ていた。なんて親切な標識だ。ここで気を許したせいか、私のおなかタイマーが急に早くまわりはじめた。やばい、はやく到着しなければ。

 

トイレをでて見ると、目の前は海だった。まあ、海が見えているのはうすうすわかっていたが、海だなぁと思う余裕がなかったのだ。

 

海だなぁ。

 

時刻は朝の5時半ごろ、そんな朝早くに周辺を散歩している人がいた。さすが新潟だ。関係ないが。

 

少しして、佐渡汽船乗り場にたどりつく。再度自転車を折りたたみ、荷物化した。ニモツカ!とか別に叫んだわけではない。こうして文字に書いてみると語呂も悪い。

 

新潟−両津行きの切符を買う。両津といえばもはや、マンガのこち亀の主人公しか頭に浮かばない。佐渡側の港が両津港なのだ。待っててくれ両さん。

 

切符を買うとき、佐渡で行方不明になったりしないように、なのかなんなのかわからないが住所と名前を書かされた。

 

6時になった。改札みたいなとこで切符を渡し、船に乗り込むべく通路を進む。私は大荷物を抱えているので、なかなかすばやく歩けない。そんな私を押しのけて先に進むやつがいた。なんてやつだ。

 

私は最近になってようやく気がついたのだが、どんなカテゴリにも愚か者はいるということだ。新潟の人だろうが東京の人だろうが、若かろうが年寄りだろうが、礼儀正しいひとは礼儀正しい、愚か者は愚か者。

 

そんな愚か者は佐渡にたどり着く前に海に落ちて得体の知れない生き物にまとわりつかれればいいんだと思った。

 

思ったのだが、2等客室のざこねゾーンで寝たら忘れた。

 

もう佐渡が見えている。いや、正直に言うと写真に写っているのが佐渡なのか新潟なのかいまいち自信がない。

 

まあ山っぽいのできっと佐渡だろう。新潟は平地っぽい感じだった。

 

2時間かかっているはずだったが、あっというまに佐渡についた。なんというかこう、感激が少ない。

 

船から降り、自転車を乗り物化する。ノリモノカ!これも掛け声としてはいまいちなのでボツにする。

 

なんか、片側2車線の道路があって車がばんばん走ってるんですけど。


 

佐渡っぽい人達がいたので写真をとった。「何してるんですか」「佐渡おけさです」というやりとりの後、私は立ち去った。

 

本当は写真にうつってるのは人形なので本気にしないでほしい。

 

さあ、出発時にうすらぼんやりと考えていた目標、佐渡一周。

 

具体的には、とりあえず北に向かう。

 

その後、筋肉痛とか尻の痛さとか、怠け心とかと相談しつつ、キャンプポイントで宿泊して進むのだ。あまり具体的でない気もするが。

 

今回、途中でくじけても電車に乗って目的地に着く方法は使えない。電車がそもそも走ってないのだ。

 

これは男が試されやがるぜ、と一瞬思ったが、実はバスが通っていて、いざとなったら乗れそうなのだった。

 

うん、じゃあ安心したとこでぼちぼち行こう。

 

私はちっこい折りたたみ自転車におっきな荷物をつみ、北へ向かったのだった。
<つづく>
<つづき>

 

なんだ佐渡は大都会じゃないのか、という不安は少し北に進むことで解消した。

 

右手には海、左手には山。私の好きな景色だ。山を登るのはあまり好きではないが。

 

そんな景色の中をしばらく走ると、公園があった。トイレもある。私の本能がここにマーキングをしろと命じていたので、いや、まあそれはうそなのだが、おしっこをした。
さて、景色はいいのだが、近くにあるはずのコンビニが見つからない。佐渡はすべてセーブオンというコンビニに支配されていた。佐渡にあるコンビニはすべてセーブオンなのだ。恐るべしセーブオン。悪の大王セーブオン。悪じゃないか。

 

うろうろしているとAコープを見つけたので入ってみた。うむ、食料はいっぱいあるな。ここで買ったものは昼食う用の弁当、フランスパン、バター、みそ汁のもと、粉末のコーヒー、インスタントラーメン、たまご、だ。あとはおかしを買ったような気がする。

 

このうち、たまごには「フルーツたまご」という名前がついてて、袋入りだった。しかも安かった。何がフルーツなんだろうか。たしかにカラは茶色っぽい。フルーツ牛乳の色といわれればそうかも知れない。まさかそんな安直な。

 

で、今検索して調べてみるとどうも鳥のえさにフルーツを与えたからフルーツたまごらしい。なんかがっかりだ。10個に一個の割合で中にみかんが入ってます、とかだったらいいのに。困るけど。

 

店を出ると、コープのおばちゃんが自販機に千円を入れて、「このとおり千円を入れると戻ってきてしまうんです。するとさっきの人が言っていたことは…」となにやら推理らしきことをしていた。犯人はこの中にいる!ドギャーン!

 

最後まで聞いていればなんかオチがついたのかも知れないが、そんときは特に興味がわかずさっさと去った。

 

佐渡には佐渡一周線という、命名した人のセンスがちょっと、というか、えー、わかりやすい名前のついた道路が走っている。そう、その道路が佐渡をぐるっと走っているのだ。

 

この道路を通っていくと、ずっと右手に海を見ながらいけるわけだ。海を見ているとかもめ軍団が手すりにとまっていた。

 

そんな道を走りながらも、ついついGPSを出して作動させる。電池がもったいないだけのような気がする。

 

道路には工事の関係か、けっこう大型のダンプがどっかんどっかん走っていた。いやだなぁ。


 

ミニ湾と言えばいいのか、ちっこい入り江みたいになってるとこに来た。海が青い。

 

青いというか、緑というか、とにかくきれいな色だ。そんなきれいな海に、茶色の巨大なモがぶわっさぁと生えていて、きれいなんだけどなんか泳ぐのやだみたいな感じをかもしだしていた。

 

そもそも岩だらけなので泳いだりすると大怪我をしそうだ。
ここでちょっと地図を出してみた。私は今、北の方に向かっている。北のさきっちょにはキャンプ場があるようだ。

 

それ以外はこれといったものはない。

 

一方南は、温泉だとかなんとか館だとかちょっと楽しそうなとこがいっぱいあるのだ。

 

南から行くべきだったか。

 

まあ、いまさら言っても始まらない。一人で旅行しているときってのは失敗すればするほど楽しいって気がする。

 

望むところだ。

 

地図上ではこの先、とくに何もなさそうな道を、私はゆっくりと自転車で進んだ。

 

<つづく>
<つづき>
隕石島だ。隕石が落ちてきてそのまま海にぶすっと刺さったような形なので、私が勝手に命名した。

 

人間にとっては見るだけの、鳥とかにとってはちょっとした休憩ポイントになりそうなそんな島だ。

 

そろそろ周りの景色が、左手は山の中!右手は海!という贅沢な感じになってきた。

 

記録のために使ったICレコーダには「坂の上下が激しいです」と吹き込んであった。なんで自分向けの録音が丁寧語なのかというと、普段タメ口でしゃべるような友達に対しても、留守電吹き込むときってちょっと緊張したりするだろう?あれと同じだ。多分。

 

上り坂、下り坂の連続。上りはほとんど自転車を降りて、押して歩く。ふうふう言いながら上り、うーおー!と叫びながら下りだ。

 

下り坂では硬い虫が私の顔面に正面衝突したりしていた。あまり大口を開けていると虫を飲んでしまう。やつらはわざわざ狙って口の中に入ってくる気がするな。

 

この辺に来ると、道もせまくなってくる。ダンプも通らない。きっと工事ポイントを過ぎたんだろうな。

 

自転車を押していると、左手の草むらでがさごそしているやつらが居る。見るとトカゲだった。すばやい動きで身をくねらせて草の陰に隠れていく。

 

すずめも居た。まあすずめなんかどこにでも居るのだが、なんだか赤っぽい。気のせいかもしれない。海鳥はともかく、すずめなんかはこの島で生まれて一生この島で暮らすんだろうな。

 

ふと、道にひもっぽいものが落ちているなと思ったら茶色の蛇だった。蛇を見たときの私の反応は、「うぉっ」と叫んで、大げさに蛇を回避だ。心の中で「うわ!蛇だ!」と見たままをわざわざ言葉にしたりした。

 

蛇の方は特に動きもなく、その場に居た。そんなに蛇が珍しいんかい、と言わんばかりだ。言っておこう、珍しいと。

 

蛇なんか見るのは10年ぶりくらいだ。

 

うぐいすも鳴いている。聞いたままをそのまま書くと、ほー、ほわっきょ!くきょくきょくきょくきょ…だ。特に佐渡式の鳴き方とかはないらしい。

 

そんなこんなではじき野フィールドパークというとこまで来た。出発してからおよそ30キロだ。ここはキャンプ場なのだが、オートキャンプ、つまり車を伴ったキャンプ専門っぽい。

 

それはともかく、トイレを借りた。実はこのとき、私の体内からビッグなあいつが出てきそうになっていてあせっていたのだ。自転車に乗ると尻付近を刺激するせいか、やけに便通が良くなってしまう気がするな。

 

入り口付近にはちゃんとした建物が建っていて、レストランも兼ねていた。そんでもってモーニング娘の曲が鳴り響いていた。

 

自販機で新しくペットボトルのお茶を買い、フィールドパークを後にした。

 

もうそろそろ足がだめになっていた。本当はだめになってからが勝負というところはあるのだが、ここいらへんを通過してしまうとまた30キロくらい進まないとキャンプ場がないのだ。

 

二ツ亀キャンプ場というとこに入り込んだ。


 

目の前のちっこい島が二ツ亀ということらしい。
なかなか見晴らしのいいキャンプ場だ。しかし、管理の人が居ない。

 

かといって、立ち入り禁止のロープとかが張ってあるわけでもない。この場所は公園も兼ねているようだ。

 

周囲には丸太でできた掘っ立て小屋がたくさんと、水道、トイレ、コインシャワーがあった。コインシャワーは鍵がかかってて使えなかったが、水道、トイレは使えるようだ。

 

とにかく、少し休憩することにした。

 

結構人が来る。人は来るが、テントを張っているような人は居ない。まあまだ昼の1時だし。

 

とりあえずテントを張った。管理人が来たら、多分声をかけてくれるだろう。


 

いつものとおり、必要最低限の箇所のみ杭を打ち、テントを張った。あっというまに隠れ家の完成だ。

 

そして、テントの中にひそんでインスタントラーメンを作った。フルーツたまごを入れてみる。殻が固い。

 

割ってみるとものすごいイキのよさだ。黄身がなかなか割れない。さすがフルーツたまごだ。

 

ほんとはご飯も食いたかったが、米を入手してなかったのでパンを食った。バターはあたりまえの話だが、1/5くらいはどろどろにとけてアブラになっていた。

 

おなかがいっぱいだ。横になってのんびりする。ああ、私はまたこののんびり感を手に入れることができたのか。うれしいなあ。

 

横になっている私を、徐々に眠気が襲ってきたのだった。
<つづく>


 

眠気を紛らわせようとかいう気はまるでなかったのだが、私はテントの中で寝そべりながらコーヒーを飲んでいた。ピーナッツもぼりぼり食っていた。

 

もうなんというか、家に居るとき以上のリラックス具合。別に寒くはないのだが、寝袋を出し、中に入っていた。今回、下にしくマットを持ってこなかったため、背中が痛かったのだ。

 

寝袋によりあっためられた私は本格的に眠くなっていた。別に寝てもいいかなとか、そんなことを考える前に寝た。

 

起きると夜になっていた。

 

といっても午後7時半くらいだ。ろうそくランタンに火をつける。が、実はランタンの方を忘れてきたようで、しょうがなくろうそくランタン用のろうそくに火をつけた。
ちょうど晩飯の時間っぽいので、食うことにする。
フランスパンとインスタントみそ汁だ。晩飯にしてはしょぼいが特に問題はない。食って寝ただけなので腹の減り具合もそれほどではないのだ。

 

それなりに虫も居るので、またもやテントに潜んで飯を作った。まあ今回はインスタントみそ汁用のお湯をわかしただけだ。
ステンレスのコップにみそ汁のもとを入れる。んで、そこにフルーツたまごを一個入れる。熱湯を注ぐ。

 

フルーツたまごは白身の部分が若干白くなっただけでほとんど生だった。失敗したか。

 

生卵丸呑みは私の年齢がそういうことはそろそろよせと告げていたので、箸でつぶそうとつっつく。なかなか割れない。さすが佐渡の卵だ。

 

なんとかつぶしてかき混ぜると、とき卵ふうみそ汁みたいな感じに仕上がった。なんだそれは。

 

このみそ汁がまたうまかった。いや、みそ汁はインスタントなのだがたまごがうまい。これはなんだ。これが本物のたまごか。じゃあいつも食ってるあのたまごはいったいなんだ。

 

食い終わって、水道んとこに洗い物をしにいった。真っ暗だった。自転車用の取り外し可能なライトを明かりになべを洗った。というか、何度かゆすいで洗ったことにした。

 

なべに水を入れてテントに戻る。これをわかしてまたコーヒー飲むのだ。特にコーヒーが好きなわけでもないが、なんか飲み物といったときに、味のついてるのがコーヒーくらいしかないのだ。

 

自転車で5分くらい走れば自販機のあるとこにたどりつけるはずだが、すでに日が落ちてまわりは暗黒の世界だ。きっと昔の落ち武者とかがいっぱい化けて出ているに違いない。
まあ、別にコーヒーでもお湯でもなんでもいいや。

 

再度私はテントに潜み、お湯をわかしてコーヒーを飲んだ。ピーナツも食った。

 

ちなみにテント内で火を使うのはほんとうはいけないらしい。まあ火がついたら大変だし、窒息するかも知れないし。一応火を使うときはテントの入り口を網戸モードにしてあるのだ。

 

海の方は、なにやら船がちかちか光っている。漁をしているようだ。

 

そういえば昼間のAコープでスズキの焼いたやつ2匹が400円くらいで売っていたなあ。あれ買えばよかったなあ、といまさらながら思った。

 

暗くなるとすることもなくて、ぼんやりと考え事をする。まあ考え事といってもスズキの400円のやつ、ちくしょうとかそんな程度だ。

 

結局ここの管理人は来なかったなぁ。今、キャンプ場に居るのはバイクの人が一人、そして同じくバイクの人が三人。それぞれ別グループらしい。

 

バイク3人組はなにやら大声でしゃべってはげらげらと馬鹿笑いをしていた。うるさかった。だがその反面、こんな得体の知れない場所で感じる恐怖とかは薄れていた気はする。

 

静かで真っ暗なこの場所では、漁をする船の明かりがそんなに光らんでも、と思うくらい明るく、3人組の声はそんなに怒鳴らんでも、というくらい大きいのだった。

 

私はコーヒーの残りに持参したラム酒を入れた。銘柄はよくわからない。もともとはお茶が入っていたアルミの入れ物に移し変えてある。

 

コーヒー酒を飲む。たまりまへんなあみたいな感じも特にない。そりゃあ、散々飲み食いした後だし。

 

空を見てみた。満天の星空みたいのを想像していたが、いまいち星は見えなかった。船の明かりが強すぎるからのような気がする。

 

横になる。夕方前にしこたま寝たから、眠れないかも知れないなと思ったがそんなことはなかった。そんだけ寝ておいてまだ寝るかと言われようが、寝た。横になれる場所さえあれば無限に眠れるというおっさん属性の発動だ。

 

明かりもちゃんと消す。3人組は相変わらずうるさいようだが、寝てしまえば問題はない。

 

起きた。夜中だった。

 

ばさばさとテントをたたくやつがいる。いや、単に風が出てきているだけのようだ。

 

うけけー!と叫ぶやつがいる。よく聞くとどうも鳥なのかなんなのか、動物がないているらしい。怖い。やめてくれ。

 

でもまあ、しょうがないかと思って再度寝た。まわりが明るくて、朝みたいなのでしょうがなく起きた。もはや時刻は朝の5時だ。

 

ICレコーダーには「おは…ご…す…」と寝ぼけた私の声が入っていた。顔を洗って、歯を磨く。水が冷たかった。

 

お湯を沸かして、パンとコーヒーを食う。たまごがいっぱい余ってるのでゆで卵を2個作ってみた。

 

朝だなあ。

 

旅先で鼻うがいするために欠かさず持っている食塩をゆで卵にかけて食べた。この塩を口から入れたのは初めてだ。それはさておき、なかなかの半熟加減だ。

 

私は後片付けをした。トイレにも行った。なかなか居心地のいいとこだったが、そろそろお別れの時なのだ。

 

テントの中を片付け、テントをたたむ。折りたたんだテントをちっこいテント袋に入れようとしたとき、袋の中にゲジゲジが入っていてびっくりした。心の中で「ゲジゲジはいっとる!」と見たままを言葉にしたりした。

 

それはもうゲジゲジとしかいいようのない見事なゲジゲジで、最近そういったものを見ていない私は少々得をしたような気がした。

 

朝7時。

 

出発準備完了だ。他の人たちはようやく起きだしたようだ。

 

私は居心地のよかったキャンプ場を後にし、自転車をこぎ始めた。

 

冒険しようぜ(佐渡編)2へつづく


新潟県 両津港(佐渡)周辺の宿情報

 

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