寒くなってからというもの、ぱったりと自転車旅行に出かけなくなってしまった。寒いときに自転車でどっかいっても楽しくないだろう、という漠然とした予感はある。でもまあ、一応やってみようと思った。
場所は埼玉県の川口。電車に乗れば30分かそこらで到着するだろう、という距離だ。ここしばらく自転車に乗ってなかったし、まあこんなもんでいいだろう。
例によって健康ランドに一泊することにしよう。
では出発。豪快に寝坊をして、昼12時に家を出た。
今回は冬用装備だ。
上着は雨具を兼ねたジャケット、ズボンはわしゃわしゃ音がする風を通さないやつだ。そしてスノボ時代にかぶっていた毛糸の帽子を引っ張り出してきて装着。
帽子は、手入れがテキトーだったため、なんだか黄色くなっている。汗だかなんだかをかいたまま放置したためだろう。見た目、かなりの不潔感だ。
仕方が無いので、近所のジーンズメイトで毛糸の帽子と手袋を買った。手袋は鍋つかみみたいな、人差し指から小指までがつながってるタイプだ。あったかそう。
帽子装着!手袋装着!うむ、予想よりもあったかい。とりあえず北を目指す。
1時間ほど自転車をこいで、練馬の駅のあたりに到着だ。この辺はもう何度も来ているので迷うこともない。GPSの力は特に借りずに済んだ。
そう、迷子属性は経験でカバーできるのだ。
練馬駅の裏には、なんだかわからないが木の実がなっていた。
せっかくなので写真を取っておいた。特にうまそうでもないので、めちゃくちゃ興味をひかれたわけではない。
えっちらおっちら自転車をこぐ。
どんよりした灰色の空が私を迎えてくれた。
冬場は水分をあまり取らなくてもやけにおしっこがしたくなる。近くにオートバックスがあったので、タイヤとかを見るような顔をしてトイレに入った。
よその家に信楽焼きのたぬきが!しかしよく見ると、たぬきが妙にやせている。
にせものだ。にせもののたぬきだ。
信楽焼きのたぬき鑑定能力レベルAの私が言うのだから間違いはない。多分。
それにしても寒い。自分の中で風呂の価値を高めるという意味では完璧だ。
だが、ちょっと休憩を取るとたちまち体が冷え、そのまま休んでいようものなら風邪を引いてしまいそうになるのだ。
私にとってはおなじみの荒川に到着!
はて、以前荒川に絵を描きに来たのはいつだったか。
さすがに寒いせいか、河原で遊んでいる人は居なかった。
河原はホームレスの人がキャンプファイヤーをしており、無法地帯だった。
ここまでくれば、もう到着したも同然だ。川を越えれば戸田市、今回目指す川口市はその隣にあるのだ。
まずは健康ランドの最寄駅、「西川口駅」を目指す。ここではじめてGPSをオンだ。
サクッとたどり着く。さすがGPSだ。
さて、こっからはおぼろげにしか覚えていない案内地図を思い出しながら行こうと思ったが、迷い始めたので健康ランドに電話して行きかたを聞いた。
到着だ!
家を出てから3時間半。風呂に対する私の欲望は結構高まっている。
チェックインして風呂にゴー!
混んでいた。すごく混んでいた。
もしおっさんのシリが大好きな人であれば、ものすごく楽しいだろう。
私はそうでもないので、見苦しいブツをなるべく視界に入れないようにしながら湯船に入った。
ふと見ると、眼前で大また開きをしながら床にねっころがっているおっさんがいた。うわあ。
風呂は気持ちよかったのだが、まあまあ、という感じ。
あがって焼肉定食とビールを注文する。うまかったが、特に感動はない。
夜の7時前だったが、仮眠室で寝た。ひたすら寝た。
夜中の3時に起きた。いつのまにか仮眠室は人でいっぱいだった。
漫画コーナーというのがあって、自由に読めるらしいので読んだ。朝の5時、飽きたのでチェックアウトだ。
外は真っ暗だった。日の出は何時ごろだろう。
人気のない道を自転車で進む。道はがらがらだ。
人の居ないところで感じる、「孤独感」というよりは「独り占め感」。これが楽しかった。
コンビニでパンとおにぎりを買い、あったかいお茶で朝飯だ。すでに荒川まで戻ってきている。
飯を食っていると、早起きしてジョギングしている人が数人、通り過ぎていった。
もうすぐ夜明けだ。白いもわもわは心霊現象かと思ったが、どうも私の吐いた息のようだ。一人エクトプラズムごっこ。
あとはひたすら南を目指せば帰還だ。目指しているうちにあったかい朝飯が食いたくなった。
いや、朝飯はさっき食ったことは食ったのだが、もっとこうほっかほかのが食いたくなったのだ。
候補として考えられるのは、マクドかガスト。どちらの朝飯セットも私の中では評価が高い。
理由はわからないが、牛丼系の朝飯はだめなのだ。
マクド!ガスト!マクド!ガスト!と心の中でつぶやきながら自転車をこぐ。
だが出現するのはロイヤルホスト、デニーズ、ジョナサン。朝飯セットはあるのだろうか。
なかった場合、朝から食いたくも無いなんとかステーキセットを注文する羽目にならないだろうか。
結局帰りのルートでマクドとガストは発見できなかった。
代わりに、植村冒険館というのを発見。
私は命をかけた冒険をするつもりは全く無いが、入場料が500円以下だったら入ってもいいかなぁ、と思った。
残念ながらまだ開館してないようなので、さっさと通り過ぎてしまった。
帰ると飼い猫のトトが丸くなっていた。
猫と同じように丸くなって過ごしたほうが良かったような気もする。
思いついたことを実行してみてよかったような気もする。
多分どちらも正しい。
今後も、ときにはぐうたら寝て、ときにはクソ寒い中でかけたりして、ぼちぼちすごしていこうと思う。