東京サイクリング 練馬で冒険しようぜ

東京サイクリング 練馬で冒険しようぜ

おふろ行こうぜ

今回は物理的な冒険ではない。どちらかというと、精神面での冒険だ。
まあ、意図せずそうなってしまったのだが。

 

中野区の隣の練馬区にあるスーパー銭湯、おふろの王様に行くのが目的だ。
距離は往復で10キロあるかどうか。非常に近い。

 

そんな近さもあって、必要な冒険の機能を全て装備した折り畳み自転車「どっか行こう号」ではなく、普段通勤に使っている「通勤野郎」(26インチ。名前は今考えた)で行くことにした。道も単純ではあるが、一応GPSも持っていく。
天気はものすごくいい。暑い。汗がだらだら出る。
だが私はすでに、この暑さを楽しめる男に成長していたのだった。

 

道は前回、群馬に行ったときと似たようなもんだ。環七を北上して、なんだっけな、どっかの陸橋で進路を北西に変える。

 

閑静な住宅地っぽくなってきたと思ったら、光が丘に到着だ。
ここには仕事で何度か来たことがあるが、自転車で来るのは初めてだ。

 

住みやすそうだ。次に引っ越すときはここも候補の一つとして考えておこう。

 

これがおふろの王様かっ

 

おふろの王様は、ちょっと想像してたよりも小さい建物だった。王様のくせに。まあいい、入場だ。

 

私はいつも宿泊目的で健康ランドに行くが、料金の相場はだいたい2000円くらいだ。
だが、ここは健康ランドではなくスーパー銭湯。早い話が銭湯に毛が生えたようなところなので、料金は安い。
600円だ。

 

入場!

 

風呂の種類は、バイブラ風呂、ジェットバス、寝湯、スチームサウナなどなど15種類もあるそうだ。

 

いつもはなんか怖いイメージが浮かんでしまって入ったことのない電気風呂に挑戦してみた。左右に電極っぽいのがあって、その間に座る。このとき、電極をさわってしまうと怖いことになってしまうかも知れないので気をつけよう。

 

うむ、これはあれに似ているな。低周波治療器。腕や脇腹が私の意志とは関係なくぴっくぴくと動いている。

 

電気風呂は多分30秒も入ってなかっただろう。こんなものに恐怖を感じていた自分が恥ずかしくなってしまったというのが正直なところだ。

 

ここは銭湯と名がつくだけあって、いったん風呂から出てロビーに出るとまた風呂に行くときに金を払わないといけない。

 

そのせいか、露天風呂の脇にあるイスには全て人が座っていた。外の風に当たることでなるべく長時間風呂場に居ようという作戦だ。

 

そしてイスは全て露天風呂の方を向いてる。

 

この状態で露天風呂に入ると、イスに座ったはだかのおっさんにじ〜っと監視されているような気分が味わえるのだ。いい気分ではないことだけは確かだ。

 

私もなるべく長時間風呂に入ってようと思って、水風呂を活用したりした。水風呂の表面はよーく見るとおっさんのアブラらしきものが浮いていたりした。

 

また、毛が生えかけの子が居て、
そいつがもう風呂場の誰よりも堂々とちんちんを開示していたのが印象的だった。
なんか珍しいものを見たような気がした。なかなかのちんちん野郎だ。

 

かと思えば腰にバスタオルを巻いて風呂場をウロウロしているおっさんも居た。不気味だ。

 

そろそろ手の指もしわしわにふやけてきたので体を拭いて更衣室に戻るとちょっとした事件が起こっていた。

 

店の人が濡れた床をモップで拭いている。
それはいいのだが、その人が20代くらいの女性だった。

 

それはないだろう。
ここはおっさんがちんちん丸出しでうろついている場所だ。
店側も考えなさ過ぎじゃないか。

 

向こうは仕事で慣れてるのかも知れないが、
一応配慮して、隠したくもないちんちんを隠して自分のロッカーに移動した。
移動したのだが、その場所が丁度その人が掃除をしていた場所だった。
なんで、よりによって。

 

もうめんどくさくなった私は隠すのをやめ、普通に着替えた。

 

そんな中、大物を持つおっさんが必要以上に腰を左右に振り、ぶ〜らぶらさせながら言った。

 

「ねえちゃん、露天風呂の方、排水溝が詰まっとったぞ!」

 

お前、もう出るんだから別にいいだろう。パンツ履いてから言え。
お前は若いねえちゃんに自分のちんちん見せたいだけだろう。
露出狂か。ちんちん親父め。

 

その後、ねえちゃんだと思ったら兄ちゃんだったとかいうオチがついていたりすると面白いのだが、さっさと出たのでわからずじまいだった。

 

さて、ロビーに出て、ビールとなんかうまいもんでも食おうと思ったが、
品揃えがこれがもう、学生食堂のような品揃えだった。しかも不当に高い。
会員になるとようやく人並みの値段になるようだ。

 

言っておこう。誰がこんなとこで食うかと。

 

家来で充分だ

 

さらばおふろの王様。だが、私に言わせればおふろの家来、ってとこだったよ。
多分まあ、二度と来ない。

 

ハラペコの状態でパワー切れを起こしながら、私は飯食うところを探していた。
一度、焼き肉屋を発見したが、倒産してしまっていたようで食えなかった。

 

自転車を漕ぎながら、「やぎにぐ〜やぎにぐ〜」と情けない声でつぶやく私。

 

光が丘の駅に着いた。駅ビル内に洋食屋があったので入った。
食ったのはサイコロステーキとランチビール。ああ、幸せ。
飯は食ったが、なんかちょっと甘いものが食べたくなった。エネルギーが減ってるのか。

 

駅ビル内の別の喫茶店に入り、チョコレートパフェを注文した。
男一人で喫茶店に入り、チョコレートパフェ。気合いが試される瞬間だ。

 

私の注文時の声は、不安で震えていた。
男性はだめです、とか言われたらどうしよう。
笑われたらどうしよう。
注文を聞き直されたら、やっぱりコーヒーでいいですって言おうか。

 

だが、店員のおっさんはプロだった。なんのトラブルもなく、
チョコパフェが私の前に現れた。おっさんの心の声が聞こえた気がする。

 

「心配するな。ゆっくり食っていけ。」

 

ありがとう。

 

光が丘を楽しむ

 

まだ帰るには早いので、近くの光が丘公園に入る。結構な広さで、こん中に図書館とか野球場とかが色々入っているのだ。

 

私は日陰のベンチに寝っ転がり、空を見た。

 

東京の空は狭いとか詩的なことを誰かが言っていたがそうでもない。普段はあまり空を見ながら生活してないので、なんだか気持ちが良かった。風が涼しかった。眠くなった。

 

起きるともう夕方だった。この自転車「通勤野郎」のライトは取り外してあり、持ってきていない。電池式なので雨に濡れると壊れるのを恐れて、普段ははずしてあるのだ。

 

暗くなる前に帰らなければ、警官に呼び止められる。

 

そして、防犯番号というんだったか、自転車の登録番号を調べられるのだ。非常にむかむかする瞬間だ。

 

そんなのやなので、さっさと帰る。

 

あれもう着いた、というくらいあっけなく帰宅した。

 

今回の走行距離10キロ。

 

今回の挑戦。

  • 電気風呂に入った。 見知らぬ若い女性の目の前で裸になった。
  • 一人でチョコパフェを注文して食べた。

 

 

一つ目は文章だけ読むと犯罪行為だと思われそうだ。


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