Poser Figure Studioレビュー
2006年4月時点でもっともおすすめのPoser本、
Poser Figure Studioをレビューしてみたい。第1版は2004年2月5日、いまだに書店においてあるのを見かける。
▲いまだにお世話になるPoser Figure Studio
Poserの機能をほぼ網羅した上で、マテリアル、ダイナミックヘア、ダイナミッククロスについて、カラー写真つきで詳しく解説されている。ただし、Poser5を前提としているため、Poser6の機能、IBLや環境閉塞、SSSなどについては触れられていない。
内容はこんな感じ。
- Poserの基本操作
- フェイスの作成
- ヘアーの作成
- マテリアルの設定
- クロスの設定
- フィギュア
- アニメーションの設定
- シーンの設定と出力
順に見ていこう。
1.Poserの基本操作
- フィギュア読み込み
- ヘア作成
- 衣服を着せる
- 小道具の配置
- ポーズ付け
- レンダリング
全体的にざっと解説。Poserを起動してからレンダリングして静止画を作るまでの手順がとりあえずイメージできるようになっている。
2.フェイスの作成
- ランダムフェイス機能の紹介
- 顔の形状ツールで顔を変形させるやり方
- 写真から顔を作るやり方
- デフォルトフィギュアのテクスチャをパラメータでヨーロッパ系や東南アジア系の人に変えるやり方
- テクスチャを実際にいじって、顔テクスチャを加工するやり方
パラメータ変化に伴って、顔つきがどう変わるかがわかりやすく解説されている。作例に使われている顔が変な顔すぎる。
3.ヘアールーム
- ダイナミックヘアの作り方チュートリアル
- ダイナミックヘアのパラメータをひとつづつ画像つきで詳しく解説。
- ドレッドヘアの作り方
- 毛皮のコートの作り方
- ダイナミックヘアのアニメーションのやり方
ヘアルームでのパラメータ解説が詳しい。どのパラメータを動かすと、髪の見た目にどんな変化が現れるかが解説されている。
4.マテリアルの設定
- マテリアルルームのインタフェース解説
- マテリアルのパラメータをサンプルつきで詳細に解説
- パラメータを変更することで見た目がどう変わるかがよくわかるようになっている。
- ニットのセーター質感の作り方
- ベルベット質感の作り方
- 付属ズボンに布のバンプを加えてリアル化するやり方
- シャツに「汚し」を加えるやり方
- 金属マテリアルを作るやり方
- マテリアルをライブラリに登録するやり方
- 背景に画像を貼り付けるやり方
- 大気ルートノードをいじって距離感を出すやり方
- ボリュメトリックライト(隙間から差し込む光のような光の形が見えるようなライト)の作り方
- マテリアルのグループ化
- 応用(髪ノード、カートゥーンシェーダー)
マテリアルルームのパラメータ変化時にマテリアルがどう変わるかをカラー画像つきで解説しているのが非常にわかりやすい。また、「汚し」を加えるやり方や、リアルな布質感を作るやり方が非常に参考になる。カートゥーンシェーダー(アニメっぽくレンダリングするためのマテリアル設定)は、おまけ程度の解説。
5.クロスの設定
- クロスシミュレーションの基本
- クロスルームインタフェース解説
- 「シミュレーション設定」のパラメータ解説
- 「曲げ抵抗」などの布のふんわり感などを調整するパラメータを画像つきで詳しく解説
- 応用として「テーブルクロス」「旗」「ずり下がるパジャマ」の作り方を解説
- ポーズをとらせたフィギュアにダイナミッククロスをフィットさせるやり方をチュートリアル的に解説
- ダイナミッククロス以外の衣服について簡単に解説
クロスルームのパラメータ変更時のふんわり感の変化を画像つきで解説していて非常にわかりやすい。
6.フィギュア
- セットアップルームの基本を簡単に解説
- フィギュアのポーズづけについて、「稼動域の制限」「インバースキネマティクス」「オートバランス」などの機能を「フィギュア」「オブジェクト」「表示」メニューにそって簡単に解説。
- 編集ツールのアイコンを簡単に解説
- IKチェーンの作成の仕方を解説
- 連結パラメータの編集の仕方を解説
- オリジナルキャラ(ハチ)にセットアップルームでボーンをいれ、歩行デザインを適用して歩かせるまでをチュートリアル的に解説
- モーフターゲットの作成方法を簡単に解説
私はまだやってみたことはないが、オリジナルキャラをPoserに持ち込んでポーズを取れるようにするチュートリアルがわかりやすい。
7.アニメーションの設定
- アニメーション関連のインタフェース解説
- キーフレーム間の自動補完ぐあいを設定する「アニメーショングラフ」の解説
- リップシンク(音声にあわせて口をパクパクさせる)アニメ作成をチュートリアル的に解説
- アニメーションをポーズデータとしてライブラリに保存するやり方を解説
- 歩行デザインを簡単に解説
- モーションキャプチャデータ(BVHファイル)適用方法を簡単に解説
ネットでもあまり見かけないアニメーション関連の情報。アニメーショングラフの解説がありがたい。
8.シーンの設定と出力
- レンダリングオプションをパラメータ変化時の画像つきで解説
- ライト・カメラのパラメータをパラメータ変化時の画像つきで解説
- スケッチデザインのパラメータをパラメータ変化時の画像つきで解説
- エクスポート(ファイルをPoser形式以外で保存するやり方)を簡単に解説
ライト・カメラのパラメータ解説がわかりやすい。「高級な影(輪郭がボケた影)のパラメータ設定」などもあり。
評価
対象はPoser5ではあるものの、マテリアル、ダイナミッククロス、ダイナミックヘアの難解なパラメータについて画像つきでわかりやすく解説されている。やろうとしたことがうまくいかないときのリファレンスとして初心者から中級者までおすすめである。
ちなみに私は自称中級者なので、上級者にとってどうなのかはわからないのだった。
★★★★★
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https://zenryokuhp.com/poser-oboegaki/archives/2006/08/poser_figure_st.htmlPoser Figure Studioレビュー
関連:
リアルな動きをつけてみる(BVHファイル適用)
顔のつやをリアルにしてみる(SSS適用)
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