野菜の皮をむく


 気がつくと、ポン酢以外の調味料が全て切れていた。
 果たしてポン酢が調味料と言えるのかどうか。ものすごく限定された局面でのみ調味できるアイテムなのではないか。鍋とか。
 そんなわけで、冷蔵庫の野菜と鶏肉を刻んで鍋で煮込む。ダシをとるものさえないので、単に水で煮込む。
 まずじゃがいも。じゃがいもについては、生の状態で皮をむくと手がべとべとになる上、ものすごくめんどくさいことをこないだ体験済みである。今回はざっと洗い、皮がついたまま丸ごと鍋に入れる。
 沸騰させてしばらくおき、急に水で冷やす。そう、ゆで卵のカラをむきやすくするワザだ。
 この作戦はまんまと成功して、皮が面白いようにむけまくる。夏の日焼けのようにむけまくる。手があつあつになる以外は完璧だ。
 あとは、キャベツ、鶏肉、こんにゃく、エリンギ、たまねぎ、小さく切ったジャガイモを入れて圧力鍋で煮込む。材料だけ見ると、ポトフっぽいが、味がついてないので単なる水炊きである。
 それらを、ポン酢に七味を加えたものにつけて食べる。
 冒頭にポン酢以外の調味料が全て切れたと書いてしまったが、そういえば七味も調味料である。さらに言うと、鼻うがい用の塩も一応ある。あるけども、まあ気づかなかったことにして話を進めよう。
 けっこううまかった。色んな食材を一緒に煮ることで、なんかこう、ダシ的なものが出て、鍋っぽくなったのだろう。
 私は先日、大根を小さく輪切りにすればナイフで皮をちゃんとむくことができるというワザも習得した。次のステージはにんじんに挑戦しようと思う。じゃがいもむきは今回マスターした。これら3巨頭を制覇すれば、もはや、むく野菜などないのではないか。ちなみにタマネギは超簡単にむけるので、3巨頭には入っていない。
 年齢とともに増加する野菜への興味。自分自身の変化にちゃくちゃくと対応しているわけだ。
 世間ではそれを老化というんだな、と寂しい気持ちになりつつ今回の日記を終わる。