なみのひとなみのいとなみ


 宮田珠己が新しい本を出してたので買った。


なみのひとなみのいとなみ
 かれこれ10年ほど前。
 暇を持て余した私は、どこの誰だかわからない人が書いた旅行記を本屋で購入した。その作者が宮田珠己である。
 その日のうちに本を読み終えた私は、次の日からこの作者の本を探しまわり、絶版になっていた本を求めて図書館をめぐったりした。
 なんと言えばいいのか、いい年をした大人がバカなことをやったり思ったりしたことを、そわそわと落ち着きのない文章で表現しているところが大好きである。あれから10年経ったのに、基本姿勢みたいな部分は依然変わりなく、相変わらずバカバカしい内容だった。
 だった、と書いたが、実は1/3くらい読んだところで止めてある。残りは、ローカル線で1時間ほど電車待ってるときとか、区役所とかでめちゃめちゃ待たされているときとかに読んだ方が、なんとなく得した気分になるのではと思ったからだ。
 つまらない時間を黄金の時間に変える恐るべき本なのである。
 まあ、そういうつまらない時間が訪れる前に我慢できずに続きを読んでしまう気はするが、ゆっくり噛みしめて、それはもう口の中に甘味が広がってくるぐらい噛みしめて読んでみようと思う。