猫におしっこをされた靴のその後。
▲つらい目にあった靴さん(購入一ヶ月目 左足用)
微生物パワーでにおいを取る「ペットの友達」により、においが取れた靴は、その後干して乾かされていた。
においは取れたが、乾かしたらにおいが復活したりしないだろうかとびくびくする毎日。
ここ10年、ねこのおしっこ臭に悩まされっぱなしだった私は、簡単にこの現実を信じることが出来なくなっていたのだ。
夢にまで出てきた。消えたと思ったらまたおしっこ臭が復活する夢。夢の中でもにおいがするんだなと思った。
靴が乾いても、ふとした弾みでおしっこ臭が復活すんじゃないかと疑い続けて、会社にはいて行くことの出来なかった靴。
休日の今日、いよいよ真のおしっこ靴復活をこの目で確かめることが出来るのだ。
においをかぐ。うむ、靴のにおいしかしない。合成革と、靴の中敷のにおい。
足を入れてみる。違和感はない。微生物がもぞり、と動く感触があったらどうしようかと、少しだけ心配していた。
では、出かけてみよう。
私は駅前まで出て、用もないのにあちこちの店を冷やかして、3時間後に帰ってきた。
靴の中は私の体温でほんのり暖かくなっている。
家に戻り、靴のにおいをかぐ。
私は思わず声に出して叫んだ。
「くさくない!」
玄関の中心で靴のにおい具合を叫ぶ。
におってみてください、私のくつ、におってみてくださーい!
号泣しながら道行く人に靴のにおいをかがせるシーンが頭に浮かんだ。かがされた道行く人も目に涙を浮かべ、無言でうなづく。
一通りおかしな想像をし終え、現実に戻ってきた。
気づかずにはいて会社に行き、異常なにおいが私の左足から放たれていることに気づいたあのときはつらかったなあ…。おしっこのことでねこを叱ったら、本人はさっぱり訳がわからないという顔をしていたよなあ…。
つらかった日々が走馬灯のように浮かんでは消えた。
もう、おしっこ靴などという不名誉な呼び方をするのはよそう。代わりに、こう名づけよう。
バイオ靴。
私は、この思い出深い靴を穴があくまではき続けようと心に誓った。
そして、どっか他に臭い所ねーかなと、ちょっとにやにやしながら部屋の中を探しはじめた。