今年のアイツ

海の上で生まれた。

 

周りになにもなくてつまんないので、とりあえず移動してみる。徐々に体が大きくなってきた。成長しているのだ。

 

陸地を見つけ、上陸。

 

ふらふらと歩き続ける。んー、やっぱ海の方がいいかなと思って、海に出る。んー、でもやっぱ陸もいいなと思って陸にあがる。

 

みんながこっちに来るなと言う。でも構わず行きたいところに行く。

 

なんだか寒くなってきた。だいぶ北に来たようだな。

 

気がつくと体が小さくなっている。歩みも遅くなっている。終わりの日が近づいているのだ。

 

そしてまた、南の方で兄弟が生まれる。

 

そんなアイツの一生。電車が止まったり、家をなぎ倒されたり、なんか怖い被害が出たりしなければ風物詩として楽しめるかも知れない。