逆境ナイン

逆境ナインというマンガが大好きだった。

 

何度このマンガに勇気付けられたことか。たかがマンガに。そう、たかがマンガに。

 

けど、社会人になるときにこのマンガを実家に置いたまま私は就職先の東京に旅立った。

 

いや、今となっては自分で捨てたのか、大掃除のタイミングで親が捨てたのかわからない。そしてそんなマンガもあったなという程度に私の中での熱も冷めていた。これがきっと大人になるってことなんだろう。

 

あれから10年以上経った。私はたまたま時間つぶし用の105円小説を探すべく、ブックオフに居た。

 

そして、ふとマンガコーナーを通りがかったとき、膨大なマンガの中から、私の目はあのマンガ、逆境ナインを探しあてていた。一瞬にして。

 

私の中の無意識領域に刻まれていた何かに火がついたような気がした。体が熱かった。

 

見つけたのは1巻と2巻。その場で買った。

 

家に帰って読んだ。読み終わった。もう一回読んだ。

 

ちくしょう、10年経った今でもこいつは私に力を与えやがる。このマンガは永久に保存しよう。そして、私に子どもが出来たらその子に読ませよう。

 

そんな決心をし、ふと、アマゾンドットコムで逆境ナインを検索してみた。

 

逆境ナイン検索結果(別ウインドウが開きます)

 

プレミアがついているのか、1冊1000円以上で取引されていた。

 

ブックオフで買って、アマゾンで売れば儲かるなと思った。ふと我に返り、ああ、これが大人になってしまったということなのかと思った。