健康ランドでほうとうを食う

先週、山梨県の石和健康ランドでほうとうを食べてきた。

 

 この健康ランドは、私が今まで巡った中でも3本の指にはいるキングオブ健康ランドの一つである。まず、店員はおおむね愛想が良く気持ちよく過ごすことが出来る。料理が充実している。風呂も充実している。そして、ビジネスホテルなみの料金で個室+健康ランド使い放題なのだ。

 

 そこで、ほうとうを食べた。

 

 ほうとう、というのは山梨県に伝わる煮込みうどんで、根野菜やきのこ、かぼちゃがたっぷり入っている。私が食べたものはうどんが平べったく、白味噌仕立てであった。

 

 注文時に、「20分かかりますが」と言われた。すなわち、それは今から煮込むよということである。本格的である。

 

 私はご飯セットを同時に注文した。同行したMえだ氏は、ミニラーメンセットを注文していた。麺がかぶっているのではないか。Mえだ氏はたまに、そういう意味不明のことをするが、ウケを狙っている訳ではない。天然である。

 

 しばらくして、黒い鉄鍋の中でぐつぐつ煮えたぎったうどん、つまり、ほうとうが二人前やってきた。ひとりにひとつである。木でできたおたまがついている。量はたっぷりあって、ごはんセット、ましてやミニラーメンセットなど不要な感じだ。

 

 鉄鍋から、うどんと具を取り鉢に取る。汁は、白味噌と溶けたかぼちゃでどろどろしている。

 

 ずるり。ほうとうを食べる。あつあつの野菜にまじって、鶏肉も入っている。かぼちゃのせいか、やや甘みのあるどろどろの汁だ。

 

 これは体が温まる。アルコールに侵された我々の体が徐々に回復していった。飲み過ぎたときに味噌汁を飲むと、ものすごく回復した気になるが、おそらくそれと同じことなのだろう。

 

 鉄鍋の中から、魔法のように次々と出てくるほかほか野菜。ヘルシーな感じではあるが、鶏肉も入って、味は白味噌なのでかなりずっしりとした感じだ。

 

 会話をかわしている暇はなかった。いや、正確に言うと食べ始めのときに「うまそう」と独り言を言った程度である。

 

 我々は、無言のままはふはふと、ほうとうを食べ終えた。

 

 今度来たら、またほうとうを食いたい。ほうとうには、習慣性があるらしかった。山梨といえば、富士山よりもぶどうよりも、ほうとう。そんなイメージが私の胸に刻み込まれた有意義な旅であった。

 

 ただし、ある程度歳を重ねないとこの味はわからないと思うので、十代、二十代の人は鼻から逆流するくらい肉でも食ってればいいと思う。