小さな神社


 とても心配なことが一つ、起こった。
 けど、私の力ではどうにもできないことだったので、近所の神社に神頼みをしに行った。これが困ったときの神頼みと言われる行為か。私が他人の目で自分を見ていたら、苦しいときだけ祈るなんて調子のいいことだなと言うだろう。
 神社ではふだん、5円か10円程度を賽銭箱に投げ入れる私だったが、今回は少し考えて100円を投げ入れる。
 手を合わせてぶつぶつとつぶやく。
 小さな神社だ。御利益もあるのかどうか。まだまだ外は寒いので、風邪を引かないうちに家に帰った。
 次の日、私はまた神社にやってきた。
 昨日は小さな神社だの、御利益があるのかだの疑って大変失礼した。私は1,000円を取り出し賽銭箱に入れ、手を合わせた。どうもありがとう、とつぶやく。
 とても暖かい日だった。もう春が来たのかな、と思いつつ私は軽やかな足取りで家に帰った。