気が散るベートーベン


 テレビでベートーベンを放送していたので、見ていた。
 ベートーベンという名のセントバーナード犬を飼っている家族のコメディものである。映画はなんと、パート5まである、隠れた人気シリーズだ。
 私は、割と作品に入り込みつつ見ていた。
 悪徳業者(?)からの脱出のときに助けてくれた犬とベートーベンがしばらくして再会するシーンでは、お、お前かァ~~、と心の中でつぶやいたりしていた。かなりの熱中ぐあい。
 途中、見覚えのある人が出てきた。X-filesのモルダー捜査官をやっていたデイヴィッド・ドゥカヴニーが、ちょっとイヤな感じの役で出演していたのだ。モルダー何やってるんだ。
 そういえば、X-Filesは最後にはどうなったのかとか、途中でスカリー役の人が太ったりしたが、その後またやせたのかなど、余計なことが気になりまくる。
 徐々に作品への集中力が戻り、作品を楽しんでいるとコマーシャルのタイミングで、「クイズ」が挿入された。  
 「ベートーベン役には何匹の犬が使われているでしょうか?」  
 台無しだ。  
 こっちはずっと同じ犬が小さい頃から成長していると思って見ているのに、なんてことをするのか。しかも、まだ物語の途中である。  
 が、再び集中力を取り戻し、最後には感動しつつ見終えた。良かった良かった。
 その後、次週はホーム・アローンを放送しますという予告が流れた。主役のマコーレ・カルキン君は大人になって薬物に手を出し、人生を踏み外したらしいがその後どうなったのかが気になり、ベートーベンの感動の余韻を楽しむどころではなかったのだった。