歯石除去を体験する


 歯医者に通うことにした。

 別に歯は痛くないけど、奥歯3本が割れたり詰め物が取れたりしたのを10年以上も放っておいたので、いつかはなんとかしなきゃあなと思っていたのだ。知り合いに、歯医者に行ったら、と言われたのをきっかけに行ってみた。
 最近の歯医者はすごかった。
 口を開けて、歯の状況を調べられているなと思ったら、写真を撮られていて、なんとそれが患者の椅子のすぐ横にあるパソコンに取り込まれ、画像として表示されるのだ。
 ちゃんと毎日歯磨きしてるから大丈夫、と思っていたが、衝撃の汚さだった。なんて汚い歯だ。
 さらにレントゲンを撮られる。レントゲン画像も瞬時にパソコンに取り込まれていた。すごいシステムだ。
 そして、治療計画?の説明が始まる。ここの先生は、説明が下手なのか何回も同じ説明をしてくれてめんどく、いや、丁寧に説明をしていただいて良く理解できた。
 歯石がびっしりこびりついています、と言われたので、歯石除去もやってもらうことにする。びっしりって、怖いな。特に口臭はないと思っていた私であったが、自分で気づかなかっただけなのかも知れない。恐ろしいことである。このまま行けば将来は、お口の臭いおじいちゃんになってしまうところだった。
 初日は、時間がないということで、一部の歯の歯石除去をやってもらった。
 歯石除去か。なぜかお金持ちだけに許された行為のような気がする歯石除去。ついに私も歯石除去できる身分になったのか。
 CDが回るような、シュインピシュイィンという音を発する超音波の機械で歯石をとってもらい、小さな掃除機みたいなのでよだれと、とれた歯石を吸ってもらう。
 見たい。
 今、10年以上もため込んだ、私の恥ずかしい歯石たちが除去されているのだ。ああ、動画にとっておいて後で見せてくれるサービスとかないんだろうか。
 そんなことを考えていると、よだれが舌の下のくぼみに溜まってきた。
 ま、まずい。先生からは死角になっているのか、その部分のよだれは、吸われている様子がない。
 どんどんたまってくるよだれ。
 さらにタイミングが悪いことに、当日の私は若干鼻づまり気味だったので、呼吸の半分くらいを口で行っていた。
 ごぽっ。
 口の中にたまったよだれを飲みこむ私。
 下手をすれば、そのよだれが鼻に逆流して、鼻からよだれを吹き出してもおかしくはなかった。
 だが、最悪の事態は避けられたようで、何回か自分のよだれで溺れそうになりながらも、なんとか歯石除去を耐え抜いたのだ。
 「口をゆすいで下さい」と言われ、吐き出した水の中には、特に何も含まれていなかった。大当たりのスロットマシンのように歯石を口から吐き出す自分を勝手に想像していた私は、ちょっとがっかりした。
 やはりここは、「これが今除去したあなたの歯石ですよ」とか言って見せて欲しかった。それには1,000円かかると言われようが、見たかった。
 まあいい。
 なかなか楽しいじゃないか、歯石除去。
 何回かに分けて歯石を取るらしいので、次回も楽しみにしつつ、今回の日記を終わる。