「盆休みなんだから、どっか行こうよ」
「どこ行っても混んでるよ」
「いや~だ~、いーきーたーいー」
というやりとりのあと、九十九里の食堂に海鮮の何かを食べに行くことになった。
私達夫婦の住む幕張からは、車で1時間以内の距離。ペーパードライバーの私には「行きは運転すること」という義務が課せられた。
いやだなぁ。運転するの、いやだなあ。(五・七・五)
「オレに話しかけないでくれ!」
「なにこれ、どっち曲がればいいの、うわあああ」
「神経集中!神経集中!」
などと大騒ぎしながら、なんとか無事に着いた。
あたりにイソの香りが充満する、海の近くの魚料理店だ。といいつつ、唐揚げとかカレーライスもフツーにメニューにあった。
昼は暑いから夜行こうということで、到着は夜7時頃。なんと、一番のおすすめである「刺身定食」「海鮮丼」「地鶏照り焼き丼」は終了してしまったということだ。
たしかに、一日限定20食って書いてある。しまったなあ。
結局、妻はいわし刺し身定食、私はアジの刺身定食を注文した。魚が苦手な私は、最初アジフライを注文しようとしていたのだが、妻が「えーっ!?」というので、しぶしぶ刺し身にしたのだ。うぜぇ。
来たのがコレ。
刺し身とタタキ、茶碗蒸しに、ひじきなんかがおかず。けっこう充実しているな。
うーん、まあ、食うか・・・パク。
!?
な、なんだこれは。私の想像してた生臭いアジとは違う。何が違うって、味が違う、アジだけに!
妻が注文したイワシの刺し身はこれ。イワシが刺し身で食べられるなんて!と、妻は嬉しそうだった。
私も一切れ貰った。マズくはないが、血の味が気になって、やはり私は魚料理は得意でないということを思い知らされたのだった。
また、「ながらみ」とかいう、煮た貝を妻が注文。
色と模様がグロい。
ながらみだか、しがらみだか知らないが、暗黒かたつむりといった風情である。らせん形状に沿った規則的なパターンのデザインが、なんかこう、ゾワッとする。
食べ方は、入り口のフタをペリッとはがして、竹串をブッ刺し、ぎゅるっと身を引きずり出して食う。奥の奥には、邪悪な黒い身が潜んでいて切れやすい。途中で切れないよう上手に引きずり出すスキルが求められる。
妻は達人級だった。ながらみ取り扱い第一級免許皆伝といったところだ。
おそるおそる食べた私は…うまかった!
こんなワケのわからないもの、私一人なら一生食わなかっただろう。妻には感謝したい。
苦味の少ない、小さなサザエのような味。醤油の風味がよく合っている。ついでに、サザエも食った。
妻は調子に乗って、サザエの奥の方の真っ黒な身を食って、「うわっ!ジャリって言った!ジャリって言った!」と騒いで、おてふきに吐き出していた。
そうだよ、そんな黒いの、食べない方がいい。うんうん。
まあ、そんな感じ。
わざわざ人に紹介するほどのこともない気がするけども、気になる人はチェックしてみるといいんじゃないだろうか。