2000年の使い捨てカメラ

部屋を片付けていると、品質保証期限が2000年となっている使い捨てカメラが部屋の隅に転がってた。もしかしたらと思って、現像に出した。

 

今日受け取りにいったら、意外にもちゃんと写ってた。使い捨てカメラも侮れない。

 

バナナワニ園に行った時の写真らしくて、ワニとか、よその人の外車を自分のもののような顔をして写ってる私とか、伊豆駅で伊豆だーという顔をしてる私とかが写ってた。家族で旅行に行ったときのものだ。

 

その続きに、ととっこが写ってた。窓から外を眺めてるととっこ、おなかを出して寝ているととっこ、そして、ノートパソコンを寝転んで打ってる私の手元にもぐりこんで尻尾をぴんと立ててるととっこ。

 

私とととっこの写真は一体誰が撮ったのかわからない。だが、感謝しよう。

 

私とととっこが一緒に写ってる写真は一枚もなかったからだ。私はそれを、部屋のすみに飾ることにした。

 

夜、道を歩いていて猫を見かけると、うちのととっこ逝ってしまいましてん、とひそひそ声で話しかけたり、朝、ととっこが居ない部屋で目覚めてここどこだと思ったり、気がつくと放心してたりと、私自身にはまだ少しおかしいところはあるが、一連のしんみりした話をこれで終わる。