マッチスティック・マン 神経過敏な詐欺師

モト冬樹が外人のフリをしているとしか思えない俳優、ニコラスケイジ。

 

 普段からちょっと困ったように眉を寄せていて、髪の毛が薄いという大筋の特徴はもちろん、顔のりんかくとか、常にびくびくしてそうな態度なんかもばっちり似ているのである。親戚なのではないか。

 

 今回は、そんなニコラスケイジの「マッチスティック・マン」のDVDを借りた。

 

 マッチスティック・マンとは詐欺師のことだ。主人公のロイ(ニコラス)は、相棒フランクと組んでちょっとした詐欺を繰り返し、結構いい家に住んでいる。プールつきである。いい車にも乗っている。

 

 ただ、ロイは少々度が過ぎるキレイ好きである。ドアは何故か3回に分けて開ける。カーペットのしみが気になって眠れない。掃除を始めると、徹底的に、それはもう気が狂ったかのように部屋をキレイにし始める。プールに葉っぱが二枚浮かんでいるのを見ただけでイラッと来て、即刻回収するほどなのだ。

 

 そのキレイ好きは日常生活に支障をきたすほど。かかりつけの分析医からもらう薬を定期的に飲んで落ち着かないと、キーッとなってしまうのだ。

 

 ある日、ロイに娘が居るということがわかる。

 

 14歳だ。娘はロイの家にときどき遊びにくるようになる。

 

 ロイは普段、ツナ缶ばかり食っているくせに、娘には野菜を食べろとか、朝はたまごを食えとか色々言う。バジルだけのパスタを作って娘がちっとも食べないと、ピザを頼んだりする。激甘な父親なのである。

 

 ここから、ロイの生活が徐々に変わっていく。めちゃめちゃびびりながら、なんとか父親らしいことをしようとするロイが面白い。

 

 小悪党の父親と明るい娘の、ちょっとぎこちない関係が笑えるのだ。

 

 爆笑するほどではないが、ついうっかり微笑んでしまう映画なのであった。

 

マッチスティックマン(DMM)
マッチスティックマン(ツタヤ)