10年以上前、私が好きだった漫画がある。
逆境ナイン。ばかばかしさとくだらなさと、そして何より熱さがこもった漫画だ。その漫画が実写映画化だ。これはもう、見に行くしかあるまい。
映画など、この数年行ったこともなかったが、これは見ておかないと。
見に行くまでに気になったのは、ココリコ田中がサカキバラ・ゴウ役だということ。意外性だけを狙ってお笑い芸人を安易に採用したのではないかという疑念が消えなかった。
見に行ってみた。
サカキバラ・ゴウはあれはあれで良かった。なかなかの迫力だった。不屈闘志も案外イケてた。洗剤の宣伝に出てるカマッぽい兄ちゃんのイメージはない。
だが。
ところどころ出てくるギャグが直球過ぎた。CGとかワイヤーアクションなんかもふんだんに使われている。男球誕生シーンも良かったし、部員・山下をダンプから救い出すシーンも良かった。
けど、「多分ここで笑わそうとしてるんだな」という箇所が、ことごとく私の中のストライクゾーンを外していた。だめだ、そんな直球じゃあ私の心はもう三振出来ないんだ。そんな球で空振りできるのはせいぜい高校生までだ。
そして、「不屈闘志はそんなことをするような男ではないっ!」というシーンもいくつかあった。
そしてラストのオチ。非常に気持ちの悪いものが残った。台無しだ。途中、グッと来る場面もあったりして感動したのだが、その感動を指を指されて笑われたような気分だった。
「カンフー・ハッスルみたいなのが受けてるから日本でも作ってみよう」
「監督は勢いのある監督で」
「なんか適当な原作ない?」
「逆境ナインてのがいいんじゃない?」
そんなノリで、適当にCGとかワイヤーとか使ってヤッツケで作られた映画。そんな感じがした。
思い入れと期待が強すぎて、かなり厳しい評価である。この映画が好きな人には申し訳ないが、ちょっと他人におすすめできない映画だった。