大沼公園で大自然を堪能した私は、電車で函館に戻ってきた。
今日はもう、夜になったら寝台列車北斗星(21:48)に乗って寝ながら帰るだけである。
最後に、ロープウェーに乗って函館山に行こう。
大きな地図で見る
山から見る夜景はとてもキレイなんだそうだ。はっきり言って、私は夜景なんか見ても特に感動しない人間なのだが、まあせっかくだから行っておこうと思ったのだった。
まずは、路面電車に乗る。
函館で初の路面電車(市電)である。五分間隔くらいで走っていて、ちょっとした移動ならこれに乗るしかないというくらい便利な交通手段である。
バスのようなフィーリングで、乗るときには整理券を取って、降りるときに料金表に従って料金を払う。料金は200円から何段階か上がっていくようで、市内をうろうろする場合には乗り放題券というのもある。
その路面電車で十字街というところまで行き、あとは徒歩だ。うーん、ロープウェイ乗り場はどこかなと地図を広げていると、知らないおっちゃんが「どこまで行くんですか?」と声をかけてきた。
私はびっくりして、あ、え、ロープウェイに乗ろうと思って…と答える。おっちゃんは、にっこり笑って「ああ、じゃあ、そこを左に曲がって坂のぼったとこですから」と教えてくれた。
見も知らない私にわざわざ声をかけて道を教えてくれるという、その状況に私はショックを受けた。おっちゃんはその後、「ところでいい土産があるのだが買うかね?」などと続けることもなく、にこやかに去って行ったのだ。私は3回ほどお礼を言って、おっちゃんと別れた。
なんだかこう、小さな幸せをもらったような気分である。私も少しづつ、できるところからがんばっていきたいと思った。
▲JOJOの塔
坂を上っていると、JOJO?と書かれた石碑が立っていたので、ジョジョの塔と名付けて先に進む。そろそろロープウェイ乗り場が見えてきた。
切符を買い、ロープウェイに乗り込む。
ぐわんぐわん。
ロープウェイは五分もしないうちに山頂に着いてしまった。あっけない。
▲ロープウェイ山頂付近
山頂はめちゃめちゃ寒かった。私の着用している、ぺらぺらのスプリングコートなど、軽く貫通して寒さが私を襲う。他の人はちゃんと心得ているようで、綿のたっぷり詰まったダウンジャケットなどを着用しているようだ。
▲NHKの電波塔
高いところから電波を飛ばすため、NHKの電波塔があった。外は寒いし、とりあえず見どころっぽいところだけぱーっと回って、あとはゆっくり室内で夜景タイムを待ちたい。
目についたものを片っ端からカメラに写す。
▲伊能忠敬
階段の壁のとこに、伊能忠敬が最初に測量した場所なんですよここは、と本当かどうかどうでもいいことが書いてあった。
▲夜景前の函館付近
船っぽいとこがあるのが「函館どっく」だ。なぜ、どっくが平仮名なのかはわからない。そういえば市電の行き先に書かれていた「函館どっく」は、「つ」が大きめで「函館どつく」に読めてしまい、ああ、どつくのか、と思ったりした。
もう寒いので、ビール飲める店に移動して、景色を見ながら飲み食いする。
▲ビールを飲みながら
ビールと海鮮サラダ、ポテトオムレツを注文する。まだまだ日は沈まないようだ。
しばらくして、無愛想な女が注文したものを持ってきた。ビールと海鮮サラダとオムレツですが、何か文句がありますか?と心の中で声をあてておいた。
ビールを飲み、サラダをつまみ、オムレツを食う。サラダもオムレツもすごい量で、しかも特においしくはなかった。まあ、黙ってても人が来るようなところはそんな感じなのだろう。しょうがない。
ぽつりぽつりと街に灯りがつきはじめ、いよいよ夜景かなあと思ってふと入口の方を見たら、ものすごい行列ができていた。皆、窓際で素敵な夜景を見ようと必死なのだ。その行列は店の外まで伸びていて、店の外も、私が来た時間と比べてめちゃめちゃ人が増えている。
ううむ、居づらい。
その後、しばらく耐えていたが、あまりの居づらさに耐えられなくなって店を出ることにした。
▲(灯りが見やすいようレベル補正済み)
夜景率でいうと30%くらいか。まあ、もうこんなもんでいいか。
店を出ると、ものすごい人だった。朝の電車の中のようである。聞こえてくる会話には日本語率が低く、韓国か中国かのアジア系、ときおり英語も混じっている。人に酔いそうだ。
おい、あっちでいい景色が見えるぞ。うおおお。急げ急げ急げ。突撃突撃。そんな感じでごった返す山頂。さらにロープウェイや山道を登ってくるバスで、どんどん人が運ばれてくる。
▲ようやく日が沈む
とりあえず日が沈むのを確認した私は、もういいかなあと思ってロープウェイで山を下りた。まあ、土曜日だったので仕方がない。こういう人が集まりそうなスポットはできるだけ平日に来たほうがいいよなあ。
▲帰り道の、赤れんが倉庫街かも知れない場所
そういえば近くに赤れんが倉庫街というのがあるらしいのだが、もしかしてこれがそうかなあというのを見つけたので、写真を撮る。なんだかおしゃれな店が並んでいた。
帰り道は携帯電話のウォーキングナビ機能で函館まで歩いて帰る。
行き先を指定しておくと、曲がるべき交差点が近づくたびに震えて教えてくれるのだ。マナーモードにしなければ音で教えてくれるのかも知れない。ずっと携帯の画面を眺めてなくていいので、これは便利だ。
▲手ぶれでよくわからない、何かの建物
その後、夜の道をふらふら歩きつつ、函館駅まで帰って来たのだ。
▲夜の函館駅
まだ電車出発まであと2時間ほどあった。
もうおなかもいっぱいだし、2時間は結構しんどいなと思いつつ、周辺をうろつく。隣接するホテル1Fの土産物コーナーに行こうとしたら、1Fロビーに人がいっぱいいた。何かの集会でもあったのかと思ったが、色紙とペンを持った子供たちが居たのできっと、ホテルに泊ってる有名人を待ち構えているんだろう。
子どもがサインを欲しがる芸能人とは一体誰なのか、別にそんなことはどうでもいいのであった。
その後も、近くのドトールに行ったりして時間をつぶす。寝台列車が来たので乗った。
寝台B、つまり一番安い寝台は1つの部屋に2段ベッドが二つおいてあり、私は下段だ。正面の下段にはすでに先客が居た。とりあえず白い靴下を履いた男だということだけは確認した。意外に車内は混んでいた。
カーテンを閉め切って、靴下を脱ぐ。靴下がくさい。酔いそうだ。ついでに、もぞもぞと着替えをする。若干、すっきりしたような気がする。電車は発車し、しばらくすると車掌が切符の確認にきた。
私は、そのまま布団をかぶって寝た。
▲寝台列車の中で迎える朝
寝台列車の中で迎える朝は、なんというか、特に楽しいこともなく、寝ながら帰ってこれて楽だったなあという感じだ。特に電車が大好きということもない私は、別に感激もなかった。
だがまあ、これで、「私は北海道から電車で帰ってきたことがある」と自慢げに人に話すことができるのだ。何が自慢なのかはわからない。
途中、ドアに鍵をかけずに便所で用を足しているおばさんが居て、あやうくおばはんの尻を目撃しそうになって、うわあと声をあげそうになったなどのハプニングはあったが、とりあえず上野に到着した。あとは、電車を適当に乗り継いで帰って来たのだ。
▲上野~上野~
いろいろあったが、一言で言うと「函館に遊びに行ったら、結構面白かった」ということで今回の日記を終わる。